複雑・ファジー小説
- Re: はきだめと方舟 [R18,短編集] ( No.3 )
- 日時: 2014/02/03 20:43
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: xr1in99g)
- 参照: http://id43.fm-p.jp/data/333/epason/pri/9.png
石造りの部屋で、私の声だけ反響した。恍惚とした、悦のみが込められた声が。大好きな貴女。シルクのような肌の貴女。私を愛している貴女。私が愛している貴女。貴女は、私にとって貴女でしかなくて、貴女の世界には私がいるだけで、十分なの。
うっとりとした表情で、四角い窓の外を眺めていた。色を塗ったような、単調な青く澄んだ色と緑々しい木々。灰色一色の部屋にいる私とは、全く違う。だけれど良いの。私の世界には、たった一人貴女がいれば。
「お嬢様、失礼致します」
ギイと開いた木の扉から、侍女が二人入ってきた。桟に手を付きながら、侍女の一挙手一投足に注意を払う。連れて来られた貴女を、ぞんざいに扱ってしまわないように。大事な貴女が痛めつけられてしまうのは、私の身が切り裂かれるようで、たまらなく辛い。
一糸纏わぬ貴女は、大きな瞳をぎゅっと閉じて、涙をぽろぽろと零していた。侍女は静かに部屋を出て、ギイと扉を閉める。私はすぐ貴女に近づいて、零れ落ちる涙を舌で舐めとった。独特の塩っ気が、口内を満たした。
「泣かなくたって大丈夫よ、ほら、そこに寝転がりなさい」
優しく諭すように言ってあげれば、貴女は私の言うとおりにする。扉から向かって右側の壁に置かれた、クイーンサイズのベッドに、貴女は横になる。変わらず涙を流し、それを見せまいとするように、腕で顔を隠した状態で。
嬉しすぎて泣いている貴女は、酷く綺麗で、私の独占欲を、支配欲を、駆り立てる。私も貴女に引かれるように、ベッドへと向かった。ベッド近くにある、木の棚から、貴女を愛するために必要な道具を取って。
「ひぐっあっ、いやっ、やめ——ああああぁぁぁああああああ!!」
手始めに、と穢れの無い桃色の乳輪を、細い針でぷっつりと刺した。貫かれた乳輪からは、真っ赤な血がぷくりと顔を覗かせている。目を見開いて涙を流す貴女は、怪我をしないように、私が両手足首を錠で繋いでいた。それが幸いして、体を捩ったとき、怪我は一つもなかった。
「ねぇ、見て。これを見れば、貴女は私のものだって、いつでも思い出すことができるわよね」
にっこり微笑んで見せても、貴女は私に笑顔を見せてくれない。それがとても悲しくて、もしかしたら、貴女への愛が足りないんだろう。そう思って、ありったけの針を、貴女の左右の乳輪へ、差し込んでいく。
そのたびに揺れる貴女の肢体、貴女の栗色の髪、小ぶりの乳房。そのたびに響く貴女の、悲鳴にも似た嬌声。嬉しくて、たまらないのね。声を聞くだけで、私の感情の昂りは、徐々に徐々に上がっていく。
針だらけの貴女の乳輪を見つめると、下半身がずくりと脈打った。下着の中で、陰部が、じっとりと濡れてくるのが分かる。体が火照っているような感じが、心地よくなってきた。
そっと、泣き喚く貴女の陰部に、指を添える。くちゅり。指を引き抜くと、私の二本の指を、てらてらと光る液体が纏っていた。それを小ぶりな貴女の口に、無理やり差し込む。驚いた顔のあとすぐ、口に広がる独特の味に、貴女は顔を歪ませた。
「ねぇ、もっともっと、貴女を私で彩らせて。俊介も、美香も、貴女の頭から、記憶から消してしまって欲しいの。貴女の世界に、私だけを住ませて欲しいの」
貴女の顎を掴んで、唇を重ねる。甘くて、温かい貴女の中に、私の頭はぼうっとしてきた。ぴちゃぴちゃと、たまに、じゅっと強く舌を吸う音。荒くなってくる息をほったらかしに、私は夢中で、貴女の口内を弄り、犯す。
私の欲望のまま。貴女が望むままに、只管。どれくらいそうしていたかは分からないけれど、口を離すと、ねっとりとした唾液が、私と貴女の口を繋いでいた。それが静かに切れてから、貴女の顔をまじまじと見る。
変わらない、泣きそうな表情が、少しだけ変わっていた。私のように、甘美な体験で、蕩けた目。強張っていた体は、だらんとシーツに全てを預けていた。半開きの唇から、指を下へ下へと這わせていく。
唇から、細い首筋に、鎖骨を撫でて、腫れた乳輪を渡り乳房の突起を撫でて、さらに下へ。たどり着いた窪みを、指でくるくると刺激してあげれば、貴女はこそばいのか体を捩る。その様子を見て、心底から嬉しくなった。
「私で、感じてくれているのね。嬉しいわ。これから、ゆっくりと、貴女を私色に染め上げてあげる」
私の笑顔は、悪魔の笑みみたいなものだっただろう。それに気付かない貴女に、触れるだけのキスをした。私のことを忘れてしまわない内に、消えない傷を作ってあげる。手放すつもりも無い貴女を、ゆっくり染めてあげる。私だけを、思い浮かべるように。
「私が、貴女を、綺麗にしてあげるわ」
石造りの部屋で、私の声だけ反響した。
■束縛的事情(Ⅰ)
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愛しているわ。
心から。
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愛しているんです。
■タイトル(Ⅰ)みたいな表記になっている場合は、続きもの、の分類にします。
R18のにおいがぷんぷんですので、続編は閲覧注意お願いしますね。