複雑・ファジー小説
- Re: はきだめと方舟 [R18,短編集] ( No.5 )
- 日時: 2014/02/08 12:19
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: MCeIcGNV)
焦らすように、てらてらと光る液を、指の腹で撫でる。時折、貴女の腰が浮いたり、左右に動いたりするのを見て、私も楽しんだ。貴女が喜んでくれていることが、とても嬉しい。なにより、私だけを考えて、私だけを貴女の世界に取り込んでいてくれるのが、嬉しいの。
「や、だっ……。しゅ、すけ、助けて……ひぁああ!?」
「貴女の世界には、私がいるだけで十分なのよ」
無理やり、それも唐突に突き入れた二本の指を、中でぐちゅぐちゅとかき混ぜる。狭い狭い中が、私の指をきゅうと締め付けるたびに、熱さに指が溶けそうになるの。何も言わずに、中を堪能した後、指をずるっと引き抜いた。私の長い爪先には、赤い血がついていて、それは指まで汚している。
「貴女の初めてが私の指で、心から、嬉しいわ。……でも、貴女の世界で貴女を犯すのは、きっと私じゃないのよね。それでも構わないわ。私が貴女の一番になってしまえば、それだけで良いんだもの。少しだけ、待っててちょうだいね」
笑顔のまま、手元にあった玩具を選びながら、言い放つ。貴女は涙をぽろぽろと、ぽろぽろと流し続けている。血と液とで、ぐちゃぐちゃに汚れた貴女の秘所に、バイブレーション機能がある、細めの張り型を無理やり入れた。
初めの太い首の部分が入れば、あとはきついながらもしっかり奥まで入っていく。痛みと異物感に、ぴくんぴくんと体を震わせた貴女を一瞥し、スイッチを入れる。コンセントから電気を吸い上げて動く玩具は、限界を知らずに、貴女を波に溺れさせていく。
「少しだけ、待っていてね。そうしたら、貴女にいいものを見せてあげるわ」
優しく、深い深いキスを交わして、私は部屋を出た。戻ってきたとき、どうか、貴女が快楽の波に溺れていることを願って。
*
とろんと目を蕩けさせ、はしたない嬌声を、貴女はあげていた。口をガムテープで封じられた、貴女の大切な俊輔がいることも知らないで。
「どお? 貴方の可愛い可愛い彼女さんの、変貌ぶり」
ふふっと笑って見せれば、貴方は私をキッと睨んだ。その視線が、とても、私の支配欲を擽って、私は体の奥が、ずくりと震え上がったのを感じる。纏うピンク色のドレスを鬱陶しく思いながら、貴方の足元に、私はしゃがみこんだ。
「あら? 感じてるじゃない。とんだ変態ね」
嘲笑混じりに言い、貴方の膨らんだ部分に手を這わせる。ジーパン越しに伝わる熱に、舌なめずりをした。そうして、ゆっくりと下を這わせる。
「んんっ!?」
「ちょっと、静かにしていてちょうだい」
嫌悪感から膝蹴りをしようとしてくる貴方の足を、抱きしめるようにして固定した。変に危害を加えてこないように。そして、彼女と同じように貴方を波に溺れさせるため。ジーパンの上から、手でゆっくりと上下に動かす。
それだけで感じたのか、そこは段々と質量を増してきた。鼻息の荒くなってくる貴方に、私はにっこりと微笑んで、ジーパンを下げる。驚いた貴方の顔を無視して、また、私はにっこりと微笑んだまま。口いっぱいに貴方を含んで、音を出して、舐めていく。
ある程度上を向いたところで、口を離して、彼女の元へと歩いていった。動き続ける玩具の電源を、落とし、彼女の中から引き抜く。一際甲高い声があがり、彼女は体を痙攣させながら、余韻に浸っている。
「ねーえ。貴女の大好きな彼、来てくれたわよ。まあ、もう死んじゃうんだけど」
耳元で私が囁いて聞かせると、貴女はゆっくりと彼のほうを見た。一瞬で目を見開き、そして、さっきまでとは違う涙を流す。見ないでと、やめてと、今にも叫びだしそうな、悲愴に歪む表情。
後ろを振り返れば、侍女が、既に、やったあとだった。私はにっこりと笑って、侍女に近づく。心ここに有らず、なんて顔をする侍女に、優しくキスをする。間に、首上がない彼を挟んで。侍女を引き寄せ、抱きしめた。侍女がもったパレットナイフを、奪い、笑顔のまま、侍女とさよならする。
喜んだ表情で、最期を迎えた侍女は、儚くて、今までで一番美しい。ナイフについた血が、侍女からでた血が、私の着るピンクのドレスを赤く彩った。一人恍惚とする私を、貴女は恐ろしいものを見るような目で、震えながら見る。
美しい瞳、肌。汚れた貴女自身。全てを私で染めたくて、貴女の恋人も消してあげた。貴女の大事な友達も、そっと自宅のベッドで冷たくなっている頃かしら。愛らしい貴女に、深く深くキスをして、発展途上の左胸に、深く深くナイフを突き刺した。
脳内を満たす貴女の青い声。動かなくなるまで、そっと待って、貴女自身の血で化粧を施す。そして、蕩けたままの貴女の秘所へ、私の滾ったものを。誰に何を言われるでもない石造りの部屋の中で、一日中、貴女の体を貪った。
■束縛的事情(Ⅱ)
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愛したのならば、最期まで。
きちんと私が終わるまで。
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束縛的事情(Ⅱ)でした。
アク禁が怖かったです、ええ。中途半端に官能的な、感じですが。
何といいますか。
最近カキコで目にする『えろ注意』。
そんなものではすまないほどの作品に、成り得る可能性がありまして、こういった末とさせて頂きました。
愛とは時に残酷で、故に故にと、目的まで失ってしまうのでしょう。
そんな『私』の感情を、どなたかに汲み取っていただければ、と思いました。