複雑・ファジー小説

Re: 永遠輪廻−endless melt− ( No.2 )
日時: 2013/06/20 19:48
名前: 123 (ID: CBSnqzpH)

「いいのですか!?オリナ様!あいつを領主会議の付添に連れて行かなくて!!」
「仕方ありません。本人が行く気がないのですから。」


 ここは、領土スズキリを統括する飛行船。
 そこの領主である美しい容姿を持ったオリナと、そこの部下が言い争っていた。


「あいつは仮にもあなた様の側近だ!いくらこの領土で2番目に権力があったとしてもこれは身勝手すぎる!」
「……じゃあ、それでは、貴方も協力してください。ありったけの兵士を集めて。」
「え?そんなあっさりと……。どうするんです?」
「何を言ってるんですか。無理やり連れて行きますよ。」
「は……はいッ!!」



















※   ※
「はあ〜…。月に一度のこの領主会議…。めんどくせえ…。部下もいないしよ。」


 場所は変わって、この世界「グレイシア」の中央都市、ヴァレリーの宮殿にて、領主である黒がかった銀髪の逞しい体つきをした美青年、ヤイバは心底眠たそうにファーと伸びをした。


「どうせほかの11人も来てないしな…。」


 そう思い、居眠りをしようとしたら……。


「放せ——ーーッ!!行きたくないって言っただろ!この都には—ーーーーーーーーーッ!!」
「観念しろ!ヒルア!もう着いたんだよ!」
「ヒルア。ここは神聖なる世界の巫女様が住まう場所。無礼に叫ぶのはやめなさい。」
「ここから解放したら私だって叫ばねえよ!アホ!」


 涼しいような、あきれたように入ってくるオリナと、黒髪に中性的な顔立ちをした少女、ヒルアを羽交い締めした部下ともどもを見て、ヤイバはあっけにとられた。
 どうすればいいのだと。


「お…おい。オリナ。アイツはいったい…。」
「ごきげんようヤイバ。お早いですね。……あの子はヒルア。私の領土の財政艦長です…が、この通り、領主会議の付添に行きたがらないのですよ。」
「は、はあ……?」


 あっさりしたオリナの物言いにヤイバはポカーンとしかできなかった。


「放せっ!コラッ!」
「わーーーーーーーーーーーーーー!!」
「オリナ様!ヒルア共が脱出しました!」
「こらヒルア。むやみに人は傷つけてはいけませんと何度も申しているでしょう?」
「オリナ様の策略でしょう、これは…。」


 部下や兵士の羽交い締めから脱出したヒルアはどっかりと地面に座り込んだ。


「私はこんな堅苦しい都と部屋には居たくないッ!あと、めんどくさいです!」
「……最後のが本音ですね。」
(…なんなんだ、領主に対してのこの無礼な行動の女は…。)

 
 ずばずばものをいうヒルアにヤイバは少し眉をひそめていた。