複雑・ファジー小説
- Re: 永遠輪廻−endless melt− ( No.3 )
- 日時: 2013/06/21 20:04
- 名前: 123 (ID: CBSnqzpH)
「…巫女様、そろそろ会議のお時間です。12神主のもとへどうぞ…。」
「わかっています。」
流れるような動作で、侍女は世界の巫女であり、グレイシアの長である少女、天音に頭を下げた。
だが、天音という女性は何千年も生きている。
少女ではない。
「足元にお気をつけください。」
「ありがとう。感謝します。」
そう言うと、侍女は満足そうに廊下から静かに歩いて行った。
「……今年は闇も光も皆、そろうといいのですが。」
そう言って天音は曇った表情を見せた。
※ ※
「いつまで膨れているのです。ヒルア。もう来てしまった以上…。」
「わかってますッ!次からは警戒するだけですから。」
「はあ……。」
座敷にて、ふくれっ面をしたヒルアとあきれた表情のオリナがいた。
「おい、お前。一応オリナの部下なんだから護衛くらいしろ。」
痺れを切らしたのか、ヤイバは睨むようにヒルアを見た。
そんなヤイバにヒルアも反抗しないわけがなく。
「…アンタも領主様ですか。だったら違う領土同士、口出ししないでもらえます?鬱陶しいので。」
「なんだと…ッ!」
「2人共!…ヒルア、お茶を持ってきてもらえますか。…二人分。」
「……分かりましたよ。」
ツン、というような雰囲気でヒルアはオリナに言われた通り、お茶がある部屋に歩いて行った。
「…なんなんだ、あいつは…!」
「……あの子は自分の領土以外の人間が信じられないんですよ。あの子にも悪気はあるわけではないので許してやってくださいね。」
不機嫌になるヤイバに苦笑しながらオリナは座敷に座りなおした。
オリナの言葉にヤイバは少し肩を竦めた。
「自分の領土以外の人間……?」
「……ええ。あの子は幼いころ自らの目の前で両親に罵倒され、その場で捨てられたそうです。そんなところをちょうど私が拾い、今まで見守ってきました…。」
(両親……。)
オリナの言葉にヤイバの顔が曇っていた。
「……だからあの子は私の領土の子供たちに自分のようなもいはさせまいと必死に今まで財政艦長としての任を全うしてきました。……あの子は他人に甘えることができないんですよ。私にもね。」
「…オリナ様。お茶、持ってきました。」
「ありがとう。ヒルア。」
コトン、とぶっきらぼうにヒルアはお茶を2つ置いた。
だけど、どことなくその手は優しくて。
「……すみませんねヤイバ様。私ごときが汲んだお茶ですが。」
プイッとそっぽを向いたヒルアにヤイバはちょっと申し訳なさそうにお茶に口をつけた。
「……いや、結構、うまい、ぞ。」
言葉を紡ぐようにして言ったヤイバの言葉に一瞬ヒルアは驚いたように目を見開いたが、そのあと、少し顔を赤くしてつぶやいた。
「……それは、ありがとうございます…。」