複雑・ファジー小説
- Re: ~Salt Road~ ( No.5 )
- 日時: 2013/06/30 03:51
- 名前: 世移 ◆.fPW1cqTWQ (ID: 3QDumk2O)
- 参照: なんか書き方がぶれる
3話 塩商人と塩
「しめて1,0000レードですね。はい。ありがとうございました!!またご贔屓に」
村の村長と話していた商人さんが馬車のほうに戻ってくる。
「アイル。そこの塩の大袋(10kg)3つと青色の箱の中にある緑色の薬品とって」
「はーい。……重いよぉ」
私は引きずるようにしながらも塩が大量に入った袋を2つと薬品を塩商人さんに渡した。塩商人さんはそれを纏めて軽々と持ち上げ村長さんのところへとまた向かう。相当重いはずなのによくそこまで軽々と持ち上げれるものだと私は思う。 けど基本的に商人は戦闘職ではないはずなのに、……つまり勇者パーティではこれが普通なのだろうか?
「はい、塩と万能薬です。ああ、万能薬はおまけですよ。いつも贔屓にしてもらってますからね。それに物資もこの村には回ってこないでしょう?いざと言う時にでも取って置いてください」
どうやら塩商人さんは魔王の影響で魔物が多くなった土地や山賊が多い治安の悪い土地など、商人が通りにくい町や村を重点的に安く塩を売っているらしい。けど普通に考えると、正直安すぎる値段だ。普通の街に売りさばいたりするならこれぐらいだろう。しかしここらへんは魔物の掃討が終わっていない巣窟だ。物品が回らないのでもっと高く売っても問題はないはずだ。
夜、私たちは今日泊る宿屋で食事をとっていた。
「なぜあんな格安で売っているんですか? もっと高く売れますよ?」
私はスープを飲み干して言った。塩商人さんはもうとっくに食事を終えていたが、私の話を聞いてくれた。
「人々の幸せの為さ。勇者は人のために動くからだなぁ。 あと、魔王討伐の報奨金で一生暮らせていけるし、それにこの前狩ったドラゴンの血や牙を売るだけで超大儲けだからね」
「はぁ。そんなもんなんですか」
そんな物なのだろうかと私は思う。基本的に稼ぐために商人をやるのではないのだろうか?
「そんなもんさ。僕は弱者には優しいんだよ。金なんてそんなに要らないさ」
「……そうですか。後、初めに言ったセリフ恥ずかしいですよ?」
「いや、まあ。そうなんだけどさぁ、かっこつけてもいいじゃん?」
塩商人さんが苦笑いして言う。
「正直気持ち悪いですよ。今の」
「……うるさい!」