複雑・ファジー小説

Re: 鬼世姫〜KISEHIME〜 ( No.1 )
日時: 2013/07/23 02:48
名前: 結縁 ◆hj52W3ifAU (ID: 5ySyUGFj)

■序章■

17歳の誕生日、私は私の知らない事実を知り……歯車は動き出した。

その日は学校も休みで一日家で家族と過ごした。
お母さん手作りのケーキを食べて、お父さんにプレゼントを貰って、妹からは祝いの言葉をもらった。
凄く幸せで生まれてきて良かったんだなって実感出来た、けど、その日の夜全ては泡沫のように消えた。

他の誰でもない私の手によって。

……よく思い出せないけど、それでも分かったのは自分の姿が化け物に変わって家族を襲い殺したということだった。
お母さんは泣き叫び妹を庇うように死にお父さんは二人を守ろうとして死に妹は……。
私はそんな家族の姿を見ながらも自身を抑えることが出来なかった。

代わりにあった思いは本能的なもので、ただ“血が欲しい”と言う欲求だけだった。

そして、私は殺した家族の体から溢れる血を飲んだ。
それこそ骨の髄まで、だけどそれでも欲求は治まらない。

だから、街へ行こうと考えた。
彼処なら深夜でも人が居る、と。

だけどその考えが実行されることはなかった。
何故なら彼等が現れたから。

六つの影を見つけたと思ったときにはーー既に意識を手放していた。