複雑・ファジー小説
- Re: 紅玉の魔女と召え魔の翼 ( No.12 )
- 日時: 2013/08/01 14:00
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: 6Ex1ut5r)
11.
ハウリーは、丈夫な長いツタを縄の代わりによこしてきた。
まず先に僕がツタを使って、脱出。
周りを見渡し、ハウリー以外誰もいないことを確認するとアリスに合図を送る。アリスは僕よりも素早く、ものの数秒でツタをたぐって脱出した。
「あれ?えっと、この人が……アリス、さん?」
ハウリーが尋ねた。
「はい。なんか同じように捕まってました」
「ヨロシク☆ハウリーちゃん。あと、あたしは呼び捨てでいいわよ〜ライトにもそうさせてるし」
「そうか?わかった、アリス」
ハウリーは、こそっと僕に耳打ちした。
「なんか、変わった人だな?あ、いや瞳の色が珍しいって意味で」
「ニンフェウムの末裔なのですよ。性格においては無視するのが得策です」
「ちょっと〜?2人で何を話してるのカナ?」
「ああ、そんなことより移動しましょう。ここにいては見つかる可能性があります」
アリスは不満そうだったが、とにもかくにも僕らは移動することにした。
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「ほんっと、ごめんな……ウチのリーダーが堅物で」
ハウリーは改めて謝った。今、僕らは集落の建物の1つの影に身を潜めている。出歩いている獣人の目を盗んで、飛びうつるように建物を移動していた。
「ハウリーが謝ることではありませんよ」
「そうよ〜気にしないで」
「アリスは謝るべきですが」
「むぅ、何よ〜」
また1つ、隠れる建物を変える。
「そういえば、『リーダー』って誰?あたし会ったことないんだけど」
「ハウリーの集落の族長です」
「まあ、族長になったのは最近だけどなー。本当は『ルーガ』って言うんだ。……あいつ、前はいいやつだったのに……」
ハウリーの表情が、少し暗くなった。
しかし、すぐに気を取り直し、
「悪い、なんか深刻っぽくなっちゃったな」
とわらいかけた。
「まああたしたちからすれば実際に深刻なんだけどちょっと痛いわよライト君!?」
「おや大丈夫ですか?『デリカシー欠乏病』の症状がでたんですかね」
仕返しを食らう前に、僕はアリスの足から自分の足をどかした。
「おのれ後で覚えていろ……」
淑女にはふさわしくないセリフが聞こえたが気のせいだろう。
「ぷっ、何て言うか、お前らって見ていて面白いな」
「「そう(ですか)?」」
僕とアリスは同時に言った。