複雑・ファジー小説

Re: 紅玉の魔女と召え魔の翼 ( No.171 )
日時: 2013/09/05 18:55
名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: qQO5uDpp)

*(駄)作者からのお知らせ*

参照1000突破しましたっ!まだ900企画やってないうちにwww

1000ってなんかこう、区切りがいいですよね〜(*´▽`*)
まさか4けたを迎える日がくるとは……っ

本当にありがとうございます!ご愛読感謝ですっ(*>▽<*)
これからもよろしくお願いしますっ(=・ω・)/

それから、次回から900突破記念の番外編を始めますっ
どちらかというと、本編にもかなり関係するというか、もはや3章のプロローグてきな(笑

では、はじまりはじまり〜なのですっ(/・ω・)/

*番外編* とある獣人族の日常 ( No.172 )
日時: 2013/09/05 18:51
名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: qQO5uDpp)

*1話

「…………」

無言で、俺は現在手中にある小さな『物』を眺めていた。
それは、この集落の先代の族長が持っていたらしい物だった。

「なぜ、先代族長がこれを……?」

誰にともなく呟いたが、当然答えなど返ってくるはずもなく。
先代の族長は、すでに寿命で亡くなっている。現在、この集落は俺が新たに治めている。
正直、最初は俺程度の若造では不適任に思われた上に、俺は族長に就任して早々魔物の餌食になりかけたりして本気で先行きが不安だった。

……しかし、まぁ。あの『副族長』に任せるよりは俺が仕切ったほうがいいかもしれないと最近は思い始めているが。

「ルーガ〜?あ、ここにいたっ!」

そう言いながら、俺の住処にずかずかと入ってきたのはハウリー。俺の幼馴染だ。どちらかというと、何かと手のかかる妹のような存在でもあるが。

「なんだ?狩りの時間にはまだ早いぞ」
「いや、そうじゃなくて……。なんか暇でさ、遊びに来たっ」

勝手知ったる幼馴染の家、ハウリーは勝手に座って勝手に食糧から干し肉を取り出し、おやつ代わりに食べ始めた。

「お前、太って走れなくなっても知らないぞ?」
「むぐ、太らないよ!ちょっとしたおやつだしっ」
「ああわかったから、尻尾を暴れさせるな。塵が舞う」

何かと感情が豊かなハウリーは、よく尻尾を揺らす癖がある。
それにしても、多少気になる同年代の少年ができたとはいえ、いまだにこいつは『女らしくする』ということを覚えんな……。獣人でも、女が堂々と胡坐をかくのはあまり見ない例だぞ。

と、そんなことを考えていると、ハウリーは俺が持っている物に気が付いた。

「む?ふぁにほれ」(ん?何それ)
「いったん食い終ってから喋れ。……これか?」

俺はそれを持ち上げて見せた。
それは、細かい装飾のされた、青い首飾り——ペンダント、というヤツだった。
茶色の細い皮ひもに、美しい青い石が一つだけ通されている。その青い石には、金色の線でとても細かく模様が描かれていて、まるで文字のようにも見える。人間語くらいしかわからない俺にはさっぱりだが。

「キレーな石だなぁ、ソレ。誰かがルーガにくれたのか?」

干し肉を口にくわえたまま、ハウリーは4つ足でその石に近づき、じっくり眺めた。というかお前、よくモノを口にくわえたまま喋れるな……。

「いや、くれたというより先代の族長が持っていた」

俺はそう答えた。

「族長の住処を掃除していた時に見つけた。まぁ、あの植物女にはとられていなかったようで何よりだった」
「ドリアーネかぁ。なんか嫌な奴だったよな」

そう言いながら、ハウリーはすぐに別のことを思い出して少し嬉しそうになった。大方、レノワールのことでも思い浮かべたのだろう。
あの少年はハウリーのお気に入りらしい。……本人はまったく気づいていないようだったが。

「なぁ、ルーガ。ライトってまたこっちに来てくれるかなっ?」
「さぁ、どうだろうな。旅の行先はレノワールではなく魔女が決めていたようだったが」
「だ、だから現実をシレっと言わないでってば……」

そんな風に、たわいもない会話をハウリーと話していると、もう一人客が来た。

「ハウリーお姉ちゃん?」

ひょこ、と顔をのぞかせたのは、短い黒髪の猫の獣人。

「あ、ジェシカ!どうしたんだ?」

ハウリーが親しそうにその猫女に手を振った。猫女は俺に「お邪魔しまーすっ」と言って、そろそろと中に入ってきた。
この猫女はジェシカ。言わずもがな、集落の一員で、ハウリーの友人だ。
猫なだけあり、かなり小柄な体躯で顔立ちも幼く、さらにハウリーをなぜか「お姉ちゃん」と呼んでいるが、実際のところ……。

「やっぱりお姉ちゃんならリーダーさんのとこにいると思ったんだ〜」
「まぁ暇なときはルーガと喋ってると時間潰しになるしなっ。それとさー、ウチのこと『お姉ちゃん』だなんて呼ばなくていいのに。ジェシカ、ウチより1歳年上じゃなかったっけ?」

そうなのだ。ジェシカは、どう見ても10歳ほどにしか見えない容姿をしていながら、ハウリーより一つ年上である。
ある意味、この集落の中ではちょっとした名物だ。

ジェシカはハウリーに、それこそ子猫のようにすり寄った。

「にゃ〜、だってハウリーお姉ちゃんって呼びたいんだもん。お姉ちゃん、すっごいカッコイイ女の子だから『姐さん』って呼びたいくらいなんだよー?」
「いや、『姐さん』は本当にやめてほしいんだけどっ」
「にゃはは、冗談だよーん」

なんというか、平和な光景だ。
だがしかし、

「お前ら、じゃれるだけだったら自分の住処でやれ。ここは俺の家だぞ」

若干苦笑しつつも俺がそう言うと、「えー」となぜか不満に言う方と「はーい」と素直に言う方に分かれた。……どっちかにしろよ。

-*-*-*-

「あ、そうだ!あたしね、ハウリーお姉ちゃんとリーダーさんにお話があったんだ」

思い出したようにジェシカはぽんと手を打った。

「話?ウチとルーガに?」
「……なんだ?」
「あのね〜、」

ジェシカは俺たちに、ある事情を話し始めた。