複雑・ファジー小説

Re: *番外編*とある魔女の日記 ( No.57 )
日時: 2013/08/05 21:21
名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)

*2話

-*-*-*-

▽月*日

あの子が産まれて、もう12年がたった。思えばここまであっという間だったわ。……あの時に見た予知夢と、あの子の姿がどんどん重なってくる。

  失いたく ない。

◆月◎日

あたしは決心した。
予知夢の日は、おそらく今日。あの子は以前魔女狩りの濡れ衣からかばった、あの人間の友達のために魔女狩りに捕まる。
そんなことはさせない。

あたしの予知夢を外すには、「運命の輪」をねじ曲げればいい。でもそれを行うと、あたしは生きられなくなる。
あの子を独りにするのは辛いけど……
この天才美女魔導師の自慢の娘だもの、生活に心配はないわね。

最後に、もしこの日記を見つけたら。













愛しているわ、あたしの娘  アリス

ママより

-*-*-*-

僕は、最後の文章——母から娘へのメッセージを読み終わって、手にしたその古い日記を閉じた。
ここは宿屋の一室。窓からは昇ったばかりの朝日が差し込んでいる。
そろそろアリスも起きるころだろう。

「おはよー……あんた相変わらず早いわねぇ」
「おはようございます、アリス。……あの、寝起きで失礼ですが質問をしてもよろしいでしょうか?」
「んー?何よ」

僕はアリスに尋ねた。

「アリス、あなたのご両親の髪の色は何色でしたか?」
「また朝っぱらから変な質問ね?そうね……ママはブラウンだったわよ。パパは写真でしか見たことないけど、あたしと同じ銀髪」
「なるほど。ではアリスの髪の色は、お父様譲りというわけですね」
「まあね。ママが生きてたころは、よく『あの人の色だわ』って撫でてもらったわねぇ」

懐かしい、とアリスは目を細めた。

「……んで、他人様の日記を勝手に読んだ言い訳は朝食をとりながら聞きましょうか?」
「申し訳ありませんでした。お詫びに朝食のデザートでもおごりますよ」
「いいわねっ♪早く行きましょ、ちょっと目をつけてたケーキがあったのよ!」

アリスは上機嫌で部屋を出ていった。
(まるで子供だな……。)
僕は苦笑しながらも後を追って行った。

*番外編おわり*

 参考資料:故人アイカシア=ニーフェの生前の日記より抜粋。

Re: 紅玉の魔女と召え魔の翼《オリキャラ募集中です!》 ( No.58 )
日時: 2013/08/05 14:37
名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: hH3N1CbI)  

*人物紹介*

*アイカシア(故人)

腰まであるチョコレートブラウンの髪、アリスと同じ紅玉の瞳。
本名「アイカシア=ニーフェ」
ニンフェウムの女性。他種族の銀髪の青年の妻で、未亡人だった。アリスの母親。
「運命の輪」をねじ曲げ、全世界においての大罪を犯してまで娘を護った。

後に成長したアリスが、蘇生魔法で生き返らせようかと持ちかけるも、
「これ以上大罪は犯せないわよ」
と笑って拒否したという。
生涯亡き夫と愛娘を愛した魔女。