複雑・ファジー小説
- Re: 紅玉の魔女と召え魔の翼 ( No.92 )
- 日時: 2013/08/15 19:17
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
*(駄)作者からのお知らせ*
なんと〜、参照500突破……ですとっΣ(・ω・ノ)ノ!
ふぃふてぃー来ましたふぃふてぃーっ!←
((すいません夜のテンションです生暖かい目で受け流してやってください))
本当にありがとう!感謝感激の極みですっ(*>▽<*)ノ
というわけで(どういうわけで?)またまたまた企画をやろうかな〜と(笑
またまた番外編でもやりましょうか……それとも前回のカオスインタビューか……そうですね番外編にしましょう←
なんとなく、いろいろ謎すぎる『ライトとアリスの出会い』でも(;´∀`)
噂によると、召え魔になったばかりの当時のライトは敬語ではないしショタだし反抗期だったらしいですgゴファッ!?((どこからともなく長槍が
ルーガ「おいどうしたレノワール、急に俺の武器を貸してくれなど……」
ライト「いえ、すみません。目的は達成したので、使用した武器は必ず洗浄してお返しします」
なんか扱いがいろいろと酷いワー(棒
ハウリー「んなことよりウチも出してほしいんだけどっ!?なんか第2話に入ってからウチとルーガだけすっかり存在忘れられてないっ!?」
えー、だって素敵なオリキャラさんや新キャラ出したいし、とある生意気な赤髪少年Vなんて『国王命令だボクの出番を増やしたまえ!!』って言ってくるし
ルーガ「ま、どうせ登場しても俺も戦うような戦闘シーンがなければ興味がない。俺にとってはな」
ハウリー「んな物騒なこと言わなくていいよ……ウチもっとライトと話したかったんだけどー……」
たぶんそのうち再び登場しますよ〜2人とも
でわ、長々と茶番(笑)失礼しましたーっ(=・ω・)/
- *番外編* とある魔獣の諸事情 ( No.93 )
- 日時: 2013/08/16 16:30
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
*1話
気が付いたとき、僕は——
「あら、起きた〜?」
『…………』
目の前には、人間……と思わしきモノ。なんだ、コイツ。
生き物にしては、どこか違和感があるようなと思えば、その両目にあった。
僕の同族でさえ見たことがない、朱い瞳。
ヒトガタの姿をするソイツは、僕を見下ろしていた。
人間特有のカタチの前足を、僕の額にペト、と当てる。
「まだ微熱があるわねぇ。右翼の怪我も随分ひどかったし、さすがのこのあたしの治癒魔法をもってしても、完治にはちょーっと時間かかるわね」
『…………』
「あ、気にしないで〜独り言だから♪ていうか〜、あなた人間語はわかるのかしら?」
人間の言語くらい理解できる。魔獣だからと勝手にそこらの低能と一緒にするな。
……と、言いたいところだが僕は何も言わない。
あまりに体がだるくて話せない、というのもあるが、何よりこの人間を警戒していた。
それでもかまわず、その人間は僕に話しかける。
「それにしても、あんたもだいぶ無茶したわよねぇ。いきなり目の前に墜落してくるんだもの、いまどき漫画でもほっとんどない展開だわよ」
『…………?』
「あ、『漫画』っていうのは〜、この間まであたしがいた世界での文化みたいなものね♪もうあっちの世界にも長くいたしぃ、久しぶりにこの世界に里帰りしてみたのよ。またしばらくはここで暮らすかもね〜」
僕はなんとなく状況がつかめてきた。
おそらく、このヒトは人間ではない。俗に言う『魔女』だ。
高度な魔術を扱える魔法職の者だと、異世界や別の次元、時空を自由に行き来できる……と、どこかで聞いたことがある。
おそらくこの魔女も、ふざけた喋り方とは裏腹にそれなりの実力があるのだろう。
もう、とっくに生きることをあきらめていた程の、僕のこの怪我をここまで治しているのも納得できる。
(また僕だけ生き残った、か)
「ねぇ、ところでさ〜少年グリフォン君」
魔女は勝手な名称で僕を呼んだ。
「あなた、あたしの召え魔になってよ」
……は?
「あなたどうせ暇なんでしょ?だって、今すぐにでも『誰か』の後を追って死にたそうな雰囲気だもの」
そうだ。願うならば、僕は今すぐ死にたい。
親しい同族も、故郷も、皆失ってしまった。こんな世界にこれ以上生きている必要はない——。
「そうでもないわよ」
『っ、!?』
思わず僕が答えるように頭の中だけで考えていたことを、魔女はまるで聞いていたかのように言ってきた。
「この世界は、あたしでさえまだ全部を回り切っていないほど広いのよ。ほかの異世界より、よっぽど土地が有り余ってるのよね〜♪」
だから、と魔女は続ける。
「そんなに死に急ぐくらい『暇』なんだったら、もうちょっとくらいゆっくり留まって、まだ見ていない場所でも見に行ったほうがお得じゃない?あなたが思ってるほどそんなにつまらなくもないわよ、"ココ"は」
魔女は『笑った』。
『…………』
「ま、どっちにしろあんたはもうあたしと契約をしてもらうのは確定なんだけど〜♪」
え?
「前から欲しかったのよ魔獣の召え魔!寝てる最中にちょっと血を分けてもらって、もう血漿つくって契約書に判子おしちゃった♪」
『ふざけるな何勝手なことをしているんだお前は!!!』
「あ、喋った♪」
あらしかも結構若い声ね〜魔獣って年齢わかりづらいけど面白いわね♪
と能天気に魔女はしゃべくっていたが、僕にとってはそれどころじゃない。一大事だ。
ふざけるな、どうして僕が何の同意もなくヒトの配下なんかに就かなければならない!?僕はもう死にたかったのに、それすらもできないっていうのか!?
冗談じゃなくこの魔女を今すぐぶっ殺したい。
「やっだ〜野蛮なこと考えないでよね、せっかくの無垢な少年魔獣君が台無しじゃない♪」
『ヒトが考えていることを読むな、この悪辣外道魔女が!誰がお前なんかの召え魔になるか!!』
「んー、セリフ事態はカッコイイけど〜、声が若すぎちゃってあんまり迫力ないわね」
ほっといてくれ、どうせまだ子供だ……。
そう。僕は魔獣グリフォンだというのに、何の力もないただのガキだ。
何も守ることができなかった、ただの……。
「ま、どっちにしろ傷が完治するまでは、あんまり動かないことね〜。じゃ、あたしちょっと出かけてくるから♪……今は、気の済むまでゆっくり休んでなさい」
最後は小さくボソッ、と言って魔女は部屋を出てどこかへ出かけて行った。
……案外、悪いやつでもない、のか?
勝手に『契約』とやらを取り付けたあたり、まだ少し信用はできないが……。
僕は、最初から寝かせられていた人間の寝床——確か『ベッド』といった——に、身を預けた。
- Re: *番外編* とある魔獣の諸事情 ( No.94 )
- 日時: 2013/08/16 21:07
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
*2話
翌朝。僕は、部屋に置いてある鏡という、自身の姿を映す道具で自分をみていた。
「どお?人間の姿になってみた感想は♪」
後ろから魔女が僕の肩に手を置いて、鏡越しに僕を覗き込んだ。
そして僕はというと、
「ふざけるな今すぐ戻せ下衆魔女」
「ちょっとぉ、せっかくの『金髪の美少年』が台無しじゃない!もっとお上品な言葉をつかいなさいよ、敬語とか!」
とりあえず僕は、背伸びをするようにして魔女に頭突きを喰らわせた。
「おうふ」
「も・ど・せ、今すぐに」
ちょっと顔に傷がついたらどうしてくれるの、とギャーギャー騒ぐ魔女。
いいからこの姿をさっさともとに戻せ、とギャーギャー騒ぐ僕。
数分間僕らは非生産的な不毛の争いを続けた……。
-*-*-*-
「まーったく、これでも良かれと思ってしたことなのに……」
「だから、先に本人の了承を得てから行動にすることを考えないのか、お前は!なんで朝起きたらいきなり人間になっていなきゃならないんだよ……!」
はぁ、と僕はため息をついた。
そう、あれから僕はそのまま眠って朝になってしまい、なんだか体がいつもと違うと思ったら、人間になっていたのだ。
「これから外に出るんだから、魔獣の恰好より人間の姿のほうがはるかに都合がいいのよ。あなたいきなり街中にグリフォンが現れたら、と思ってみなさい?大パニック間違いなしよ」
「確かにそうだけど……先に言えってば……」
ああ、なんだか気持ちが悪い。二本足で歩いている。翼がないからひどく背中が寒々しい。何より、
「視界がせまい……」
そう、魔獣の姿の時は後ろまで見渡せたのに、人間だと前しかみえない。
なるほど、だから人間とは欲望のままに突っ走ることしかできないのか。視野が狭いだけに。
「さり気なーくうまいこと言ってるわね」
「だから人の考えを読むな、魔女」
「いっとくけど、あたしちゃんとした名前、あるのよー?『魔女』じゃなくて」
「知る必要もないし知りたくもない。お前なんか『魔女』で十分だ」
そういって僕は魔女を見上げる。
「んー、12歳くらいの子に言われてもむしろかわいいわね」
「だ・ま・れ」
何はともあれ、僕は結局魔女に連れられて外に出た。
ふと疑問に思ったことを尋ねてみる。
「そういえば、僕が着ているこの服はどうしたんだ?」
「ああ、それも変化魔法よー。魔獣でいうところの『毛皮』を人間でいうところの『服』に"変換"したの。あなたも召え魔になって変化魔法を覚えれば、好きな時に魔獣でも人間でも変身できるようになるわよ♪」
「あ、そう」
僕は適当に返事をした。
ちなみに、今のところは一応まだ『正式に契約をした』わけではないらしい。それもそうだ、『契約者の権利』は僕だって持っている。その僕が全力でこの契約を否定しているのだから。
まだ日が昇ったばかりだというのに、街の人々はあわただしく働いている。これでもまだ空いているほうらしい。昼間になれば、仕事の人間以外にも、観光客やらその客目当ての見世物やらが集まり、ますますにぎやかになるのだそうだ。
魔女は、その中で軒を連ねる店の一件に入って行った。この隙を狙って逃げようか、とも思ったが、土地勘が全くない僕にはここでの逃亡劇は不利になる。
なにより、なんだかんだいいつつ怪我の手当てをしてくれたヒトに、さすがにそこまで当たることができなかった。妙な罪悪感というやつだ。
その店は、絵師の店のようだった。
絵師とはいっても、取り扱っているのは絵画だけではなく各地域の地図も取り揃えてある。この店主である絵描きの作画地図なのだろう。
魔女は絵画ではなく、その地図に用があったらしく、巻物状にして積んである物の一つを手にとっては広げて眺める。
「……正確なのか?それは」
「結構いい腕してるのよ、この地図絵師は。うーんそうね、もうこの地域にはほとんど行ってきたし〜……」
地図選び、というより旅行先を定めているようでもあった。
僕はとくにすることもないので、非売品らしく壁に丁寧に飾ってある地図を眺めることにする。
本当にただの飾りのように、小さくただ装飾が豪華なだけの地図もあれば、必要以上に大きすぎてむしろよくこんな紙を調達できたな、と思えるような物もあった。
——そのうちの一つに、僕は思わず目を止めた。
- Re: *番外編*とある魔獣の諸事情 ( No.95 )
- 日時: 2013/08/16 18:47
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
*3話
(これ……)
思わず、その地図に描かれた『ある地域』にそっと指を添えた。
「『空中庭園』……何万年も存在の確認が取れなかった、幻の空中都市ね」
後ろから魔女の声がかかる。
「でも、確かつい最近ある冒険者が発見して、帝国がその大陸を滅ぼさせないように保護活動をした、って……」
「違う!」
僕は魔女の言うことを遮って、店内であることも忘れて叫んだ。
「何が保護活動だ?その真逆だ。あいつらは欲に目がくらんで、……秘宝のために、先住民を……僕の同族を!」
僕の記憶の中の、地獄が再び脳裏に浮かぶ。
——襲撃で翼を無くした母、僕や兄妹を守って堕ちていった父、
血に濡れ苦しむ妹や親しかった友人——
ガクッ、と音がしたかと思った。
僕は膝をついて、頭を抱えるようにして倒れたらしい。
頭が痛い。ガンガン音がする。
記憶が、暴走する。
そんな僕を、魔女は介護するでもなくしゃがみこんでこう話しかけた。
「復讐したい?あたしについてくれば、それが叶うわよ」
「……!」
僕は、それに答えようとした。
——が、しかし。
「とかなんとか言ってほしかったー?」
「え……?」
魔女は、片手で僕を引きずり起こした。
「ちょ、痛っ」
「ほら立ちなさいよ!男の子でしょうが。あとここ、店の中!もし客がいたら邪魔になってたところよー、全く」
僕は展開について行くことができず、茫然と魔女を見上げた。
その魔女は、
ビシィッ!と決め顔で僕を指さしこう言った。
「泣くな少年よ!あたしなんて目の前で母親殺されて、泣くことすらできなかったわ、少女期に!」
なぜか自慢げに言ってきた。
「え……と」
「ふっふー、すごいでしょ」
「いや、すごいというより痛々しい」
なぜそんな過去を、わざわざこのタイミングで暴露?しかも、なぜそんな軽くふざけた口調で?わけがわからない。
「何を言いたいのかといいますと」
魔女は気障ったらしく人差し指を振りながら続けた。
「この時代、生まれ故郷やら家族やらを亡くすヒトなんて五万といるのよ。もっとひどい子だと、親に売り飛ばされて一生奴隷生活なんてのもあるの。むしろ五体満足で家族も故郷ももっているヤツが珍しい」
「……は、はぁ」
「だからさぁ、今さら嘆いていたってしょうがなくない?割り切るしかないでしょ、フツーに」
……そんなざっくりな。
大切なヒトの死を、そんな軽い考えで割り切れるか、普通。
「だって、あんたの家族や友達も、あんたが死ぬことを望んでいないもの」
魔女はサラリとそう言った。
「……お前がいつも何かを言うときは必ず唐突だと昨日のうちにわかってはいたけど、……どういう意味だ?」
「だーかーらー、その昨日のうちにあんたの死んだ家族たちに会ってきたの!霊界通信魔術で」
専門用語がとびだしてきて、相変わらず意味はわからなかったが……要するに、僕と死に別れてしまった彼らと会ってきた、らしい。
「……は、はぁっ!?まさか、嘘だろ!?」
「残念ながらホントですー。『紅玉の魔女』の二つ名は伊達じゃないのよ」
ニヤリ、と不敵に笑ったが僕はそれどころじゃない。
「なんで僕を会わせなかったんだよ!?それが肝心じゃないか!」
「どこまでもワガママね〜、せーっかくヒトが誰かさんのためを思って、死別した『大事な家族』さんと話してきたのに」
魔女は怒るというより憐れむような目で僕を見てきた。僕はそこでハッ、となる。
それもそうだ。確かに僕自身が家族と話せなかったのは悲しいが、善意でそこまでしてくれたのはこの魔女のおかげだ。お礼も言わずにさらにそれ以上を望むのは、いささか品がない。
「……ごめん」
「わかればよろしい。よかったわーこれから召え魔になるかもしれない候補の子が思慮深くて♪」
「それで、あのヒトたちは……なんて言ってたんだ?」
魔女は、ただこう答えた。
「満場一致で、『死ぬな』ですって」
「…………」
僕は、店の壁にもたれかかった。
そんな僕に、魔女は懐からこの店の商品ではない小さな地図を渡した。
「これ、昨日から今朝までいた宿までの地図ね。……しばらく一人で、好きに歩けばいいんじゃない?戻ってくるのは、気が向いたらでいいわよ」
魔女はそう言って、僕に背を向けて店を出て行った。
-*-*-*-
——それから。
夕刻がせまるころ、魔女は宿の中で宿の店主と話していた。
「やーっぱダメかもね〜、一人でどっか行っちゃったかも」
ひどく残念そうに魔女は言う。店主は、独特ののんびりした声で魔女を慰めていた。
「まだわからないわよ〜。夕方だもの〜」
「夕方だからよ……。別れたの、昼前だしー?あーあ、いろいろ有能そうだし、召え魔にはかなりの有望な人材だったんだけどぉ」
ま、しょうがないか、と魔女は言った。
「どうするかは本人次第だしね。結局自殺するかもだし、もしそうだったらそんくらいの価値しかないヤツだった、て事だしー」
「でも残念そうね〜スーちゃん」
「それを言わないでってば」
魔女は苦笑した。
……そろそろいいかな。
ガチャ、とドアを開ける。
「いらっしゃいま……あら〜♪」
「……!あら、お帰り」
意外と何事もなかったように魔女は言ったが、最初にこちらを見た瞬間、かなり嬉しそうにしたのを僕は見逃さなかった。
……なんだか、子供みたいな魔女だ。
「……ただいま」
魔女はニヤリとからかうように笑いかけ、僕に尋ねた。
「帰ってきたってことは、結論は出たのかしら?グリフォン君」
僕は答えた。
「『ライト』ですよ」
「え?」
ご所望通り、敬語を使って。
「ブライアント=レノワール、通称ライト。僕の家族から聞かなかったのですか?召え魔の名前くらい、普通に覚えておいてください」
魔女は嬉しそうに笑った。
「あたしはアリス=ニーフェよ。ま、偉大なる紅玉の魔女を知らないくらい世間知らずだったことは、採用記念に許してあげる♪」
「それはどうも」
僕はとりあえず、そう答えておいた。
*番外編おわり*