複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ?【第2回オリキャラ募集】 ( No.108 )
- 日時: 2013/08/05 20:18
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: TM72TTmK)
014 カメルリング王国ルート
女将さんの言ったことがあたっているなんて思いもよらなかったルークは、このシュタイン亭が出会いの場であることに確信を持った。
2時間も掛からずに帰ってきたミルフィーユとラグは、とある人物をつれてルークの元に帰ってきた。
「いろいろ考えていたんだがね、騎士といってもいろいろいるんだよ」
ミルフィーユはルークの肩をぽんと叩くと、振り返るようにつれてきた人物を見つめる。
「戦歴ゼロのルーク君が唯一騎士として採用されるためには、特例の騎士に求められる才能がいるんだけどね」
ルークはカウンターの前に呆然と立って、その人物を眺めたまま黙った。
真っ黒の分厚い大型本を小脇に抱えたその人は、くいっと人差し指でメガネを持ち上げる。その赤みが掛かった茶色の瞳は、夕焼けのように光っていた。
紫色のフロックコートが怪しい雰囲気を演出している、なんだか手品師のような人だ。
「魔術の使える騎士というのは、かなり需要があってね。もしもルーク君にその才能があれば、貴族の出じゃなかろうが戦歴ゼロだろうが騎士になれるんだよ」
「・・・え、と・・・え・・・」魔法を使う騎士、そんなものは聞いたことが無い。
魔術師とかそんなヤツのことなのだろうか?ただ、その才能があれば念願の騎士になれるという。
「そこでだ、知り合いの魔導師を呼んできた。コイツは本に宿った魔力を引き出す才能があってな、それで戦歴そこそこなのに王国の魔導師をやってる」
「ユニート・トラシヴァです。よろしくルーク君」
ミルフィーユに紹介されて、人を見透かしたような笑顔でお辞儀した彼の手にある黒の本。それがユニートの武器なのだという。
「それじゃ、ミルフィーユさん、行きましょうか」
ユニートがきびすを返すので、慌ててルークはたずねた。
「まって!魔法騎士ってなんですか?それと、何処行くんですか?」
ユニートは振り返り、ジョレスやノイアー、ラグやミルフィーユに視線を一瞬向けると、顔をほころばせて笑う。
「魔法騎士については後で。向かう場所は・・・この国の修道院だよ、ほら、あの有名なフランチェスカ様がいらっしゃる神聖な場所さ」