複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ?【第2回オリキャラ募集】 ( No.120 )
- 日時: 2013/08/07 13:52
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
014 ミカイロウィッチ帝国ルート
誘拐常習犯の皇女様に会いに行く、という団長の所存で、エディはイヴに支えられながらゆっくりと隠し通路を進んでいた。
ツヴァイやイヴ、クウヤの現れた隠し扉の向こうに、どうやら皇女のいる場所へ通じる部屋がいくつかあるという。
「エドウィン」
自ら支える役を志願したイヴに、エディは腰の痛みに顔を引きつらせながら微笑んだ。
「エディでいいよ」
「エ、ディ・・・」照れたように柔和な笑みを浮かべたイヴは、なんだか嬉しそうだ。
「エディ、自分から階段に飛び降りたって・・・そう聞いたけど」
何でそんなことしたの?とイヴが不思議そうにこちらを見つめている。
事実階段から飛び降りた理由は、逃走を阻むであろう危険因子のヴィトリアルを蹴り落とし、アーリィをも歯牙にかけようとした結果だった。
だが奇襲攻撃をさらりとかわされて階段に激突したとは、とても人に言えるものではない。自分のボロを相手に自らさらすなど、そんなことしたい人間などこの世に存在しない。
適当に躓いたとか、足元にネズミがいたとか誤魔化すと、イヴはそれ以上詮索しようとはしなかった。
ただ、怪我が速く治るといいね、と微笑みながらねぎらってくれた。
隠し通路の先に待っていたものは陰気な拷問部屋とは打って変わった豪華な部屋。
エディの実家にある家具などとは素材から違った贅沢な物が大量にあり、三つほど綺麗に装飾された扉があった。
赤い絨毯に、こぶりながらシャンデリア。窓は無いけれど、それでも十分なほどのリラックスできそうな快適な部屋だった。
「エドウィンをそこらへんの床に座らせとけ。皇女はまだ来てないらしいからな」
先頭きって部屋に入ったヴィトリアルが、イヴに指図すると、次はツヴァイに命令を下す。
「一番安全そうな薬で治療してやれ。立てといわれた時に立てないとなると、ムチで散々打たれるからな」
え、と血の気の引いた顔をしたエディの傍に、一番安全そうな薬候補を白衣から取り出して床に並べたツヴァイは、ようやくそのうちのひとつを手に取ると、心底つまらないといった顔でエディを手当てする。
ドレスのムダな装飾品をポイポイと取るツヴァイによって、あの重苦しいドレスがエディに嬉しい動きやすい単なるドレスを模したスカートとなる。
腰辺りを圧迫していたコルセットが消えるとだいぶ楽になった。
後は自分で・・・と差し出された薬を患部につけると、とりあえずは痛みが和らいだ。
ありがとう、とツヴァイにお礼を言った直後、少し乱暴そうに宝石の埋め込まれた扉が押し開けられる。
小柄なシルエットに大きなリボン、両手から尻尾のように零れ落ちるムチ。
エディは唇を一文字にむすび、自分を拉致した張本人、誘拐常習犯のシェリル皇女をにらみあげた。