複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.144 )
日時: 2013/08/08 15:47
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)

020 カメルリング王国ルート


「—っというわけで、ルーク君は今日からすぐに魔道騎士になれるというんだね?協力を惜しまなかった私とラグを見捨てて騎士になるんだね?」
「そ、その言い方だと僕がミルフィーユさんたちを利用しまくったように聞こえますって・・・まぁ事実そうなんですけど」
ルークが引き抜いたフランベルジュを、フランチェスカが再び台座に納め、ルークは仲間たちに囲まれていた。
俺も挑戦したいっと名乗りを上げたジョレスとノイアーもフランベルジュを引き抜くが、波打つ刀身は錆び付いたぼろぼろのまま、何も変化が無かった。
残念がる彼らは魔法剣など使わずとも相当強いので、落ち込まなくてもいいのにとルークは苦笑いする。
「王宮には私から伝えておきますから、ルーク君はこのまま確実に王宮の魔道騎士になれますよ。あとは誰かの元で弟子に付かなければなりませんけど—」
ユニートがメガネを人差し指で上げながら首を傾げる。夕日のような赤味を帯びた瞳が、答えを探すように泳いだ。
保護者のようにルークの肩を掴んで立つミルフィーユが早く先を言えと促すと、ユニートは困ったように腰に手を当てる。
「魔導師も、騎士も・・・戦歴の無いものは師匠となる人物のもとで鍛錬を積んでから実践に移行するんだけど、魔道騎士はこの国にはただ一人しか確認されていなくてですね・・・つまりは—」
ユニートの思わせぶりな声に、フランチェスカ王女がフランベルジュのぼろぼろの柄に手を置いてこたえる。鋭い破裂音があたりの空気を貫く。
「わたくしに・・・師匠になって欲しいと仰るのですか」
「許されるなら」
意外にもこの人、がんがん言っちゃうタイプの人なんだな、とルークは目を丸くしてユニートを眺めた。
王女に魔法剣を見せてくれと頼んだり、ルークに魔法剣を抜かせるよう頼んだり、今度は王女じきじきに師匠をやってくれと頼んだり・・・。
だがそれはすべてルークにとってありがたい申し出だった。
本当は自分で頼まなくちゃいけないのだが、多分一人だったら何も言えずただお辞儀し続けてしまいそうだ。


「・・・考えさせてください。明日・・・答えを出しますから、どうか今日のところは修道院の一室をあてがいますので、お引取りを」
しばらくして、王女は伏せていた目を上げて答えた。
戦の好きでないフランチェスカ王女には、受け入れがたい頼みごとだっただろう。
自らの破壊的な魔力をも忌み嫌う彼女に、酷な頼みごとをしたことに罪悪感を感じたルークは、ユニートが答えるよりも早く頷いた。
「ありがとう御座います・・・それでは明日」
王女は膝を追って軽くお辞儀すると、キリエ牧師とリグ僧侶に挟まれて礼拝堂を出て行った。

「まぁ考えてもらうだけマシだよ。それじゃ僕は王室に報告をしに行くから修道院に泊まらずに帰るよ」
ユニートはルークの魔道騎士の才能を報告しに一端別れ、時間が空いていれば明日も同行すると言い残して、ノイアーとジョレスも城に帰っていった。
ルークとミルフィーユ、ラグの三人はシスターに案内されて、質素な三段ベットのある部屋へ通され、そこで王女の答えを待つことにした。