複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.146 )
日時: 2013/08/08 18:08
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)

四桁記念 番外編001 王国日常編イヌ派ネコ派
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ある日のこと、シュタイン亭でルーク・ミルフィーユ・ラグが昼食を取っていると、知り合いがゾクゾクとやってきた。
今日は王女が王宮へ里帰りをする日なので、というキリエ牧師、リグレット僧侶を皮切りに、ノイアー、ジョレス、ユニート、そして暗殺者のリリーが店にやってきた。
「拾った」そう言ってリリーが腕に抱えているのは小さな子犬。
耳のたれた、雪のように白い子犬だった。

「まぁ小さい子犬なら」と入店を許可してくれた女将さんが床にミルクの入った皿を置いてやると、子犬は鼻の先を皿の中に突っ込んで必死にミルクを舐め取っている。
どうやら相当腹をすかせているらしい、リリーの話によるとそこらへんでよたよた歩いていたらしい。
「リリーはイヌ派なんだな」リリーのカウンターに座らずにその子犬の背中を優しく撫でている様子を見て、ミルフィーユが意外そうに感想を口にする。
「そうですか?リリーさんは忠実な犬のほうが好きっぽそうですけど」
ルークがつぶやくと、そこからイヌ派ネコ派についての話題が盛り上がった。

イヌ派だと忠実なシモベを欲しがっているSだとか、ネコ派だとわがままに振り回されて尻に敷かれたいMだとか、根も葉もない話題がもちあがる。
「・・・私は別に、かわいいのが好きなので、イヌかネコなんて選べませんよ」興味なさそうにリリーが言うころには、女将さんも巻き込んで、イヌ派ネコ派の対立が始まっていた。

「俺は断然ネコ!ツンとしているが時々擦り寄ってくる感じがいい」
「ぼ、僕もネコです・・・自由奔放と生きているとほっとけないというか・・・」
ジョレスの言葉にラグが賛成というように、おずおずと手を上げる。
いつの間にか左右でネコ派イヌ派に分かれて座っており、ルークはその狭間で成り行きを見守っていた。
「断然イヌですね僕は。わがままなネコの相手なんてしてるヒマ、ないし」
「私も主人一筋のイヌの方がいいですね。ネコのように餌をチラつかせればついていくようなやつは好きじゃないです」
ユニートがめがねをくいと上げながらつぶやくと、キリエも深く頷く。
ミルフィーユもイヌ派のほうに座り、主人に忠実でないネコはイヤだと文句を言う。
「私もネコは好きじゃない!この前ネコに食べていたお菓子盗まれた!ネコは根絶やしにしてもいいと思う!」
ノイアーの怒りに満ちた叫びに、黙っていたリグ僧侶がやれやれと首を振ってネコ派の椅子に座りながら言った。
「世界を作ったのはネコだという一説もあるというのに・・・ネコが根絶やしになったら世界が終わるかもしれないよ」

「・・・・・・」ネコ派イヌ派は犬が好き、猫が好き!というものではなかっただろうか?
いつの間にか、イヌのような人が好き、猫のような人が好き、単なる恨み、世界が崩壊しないため、などともはや動物としての犬好き猫好きの領域をはるかに超えてしまっている。
ジョレスはツンデレが好きと公言しているようなものだし、ラグとミルフィーユはお互いのことを言っているように聞こえる。
ユニートは助手にしたい人のタイプ、キリエは浮気する人は許せないと牧師らしいことを言い、ノイアーは単なる恨み、リグレットは彼のネガティブゆえの発想なのだろう。
案外ネコ派イヌ派はその人の性質を知る上で重要なのかもしれないと、ルークは対立する二組を眺める。

「ところで、ルーク君はどっちがすきなの」
犬を微笑みながら撫でていたリリーがルークを見上げながらたずねる。
リリーはフリーダムに好きになったら別に関係ないというタイプなのだろう。
犬と猫どっちが好きか、この質問はシンプルだが案外脅威であると理解したルークは、にっこり微笑む。
やすやすと心は読ませてなるものか!
「僕はひつじが好きです」


番外編 王国ルート おわり

カオスになったが許してくださいww