複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.160 )
- 日時: 2013/08/11 15:20
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
四桁記念 番外編006 団長の足取り
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皇女がヴィトリアルにムチで反撃する前に、ヴィトリアルはムチをスキンヘッドが最後の力をもってして投げた斧で、杭を打つように床にたたきつけ固定する。
ムチを振り回そうとした皇女ががくんとつんのめり転ぶと、ヴィトリアルはかがみこみその身体に片手剣を突き刺す。
だが皇女が身をよじって逃げようとしたため、体のど真ん中を突き刺そうとしたがわき腹をわずかに切り込んだだけだった。
だが肉が裂けたのは事実であり、歯を食いしばりながら皇女が苦痛の悲鳴を上げる。
ネグりジュの腹部が真っ赤に染まり、ヴィトリアルは勢いよく片手剣を引き抜き構えると、とどめを刺そうとその心臓に狙いを定めた。
スキンヘッドは動かない。おそらく鋭いダイアモンドの切っ先で致命傷を負ってすでに死んでいるか、生きているかどちらか。
とにかく今はコイツを始末しないと。
「うっ」
すると突然足に鋭い痛みを感じて体中の力が抜けた。指が動かずその間から強く握り締めていた片手件が滑り落ちる。
見れば、皇女が痛みを誤魔化すように笑みを浮かべてヴィトリアルの足に小さなナイフを差していた。
そのナイフには神経毒でも塗ってあったのだろう、即効性すぎるがゆえすでに意識が飛びそうになる。もしかしたらこのまま神経が麻痺し、永遠に目を覚まさなくなるのではないだろうか?
雲って商店の定まらない視界で、皇女がわき腹を押さえながら起き上がるのが見える。そしてごほごほとせきをしながら冷や汗を浮かべて笑う。
「死ぬかと思ったわ・・・いったいし・・・お抱えの科学者の神経毒で助かったけど・・・今こういう戦えるやつを欲しいんだよね。ここで殺すのはもったいない・・・拉致してしまおうかしら」
次に目が覚めたとき、やけに陰気は部屋の机の上に寝かされていた。陰気というよりは趣味の悪すぎる拷問部屋だった。
辺りを見回すと、スキンヘッドハゲの姿は無い。
「おやこっちの人は起きた、解毒剤が効いちゃったのか」やけに残念そうな声に、不審げにそちらを見ると、白い白衣の少年がフラスコ片手にこちらを見ている。奇妙な白衣少年だ、左右の瞳の色が違う。
「で皇女様、皇女様が拉致もしくは誘拐してきたこの人は一体?」
白衣少年が隣に立つ皇女をうかがうと、すでに治療を受けて新しい服に着替えた皇女が笑う。
「その人は新しい手駒よ?盗賊らしいから、私の盗賊団の団長になってもらおうと思ってね。そのためにあなたは生かしておいてあげたんだから、働いてもらうわよ」
あなたは生かしておいてあげた、おやこっちの人は起きた、などの思わせぶりな発言から推測すると、スキンヘッドハゲは生きていないのだろう。
しかも気絶しているうちに拉致されて勝手に仲間にされたらしい。
「私は盗賊団結集のために人選をしてくるわ!」
皇女が満足げにさって行った後、白衣少年がまだ神経が麻痺して動けず机に寝転がっているヴィトリアルに、思い出したように言った。
ポケットから何かを取り出して言う。
「人選ってまた強引な誘拐か拉致してくるのかな・・・あ、そうだ、これ君の?」
目の前にぶら下げられたソレは、金属の針のようなものがぶら下がった首飾り。スキンヘッドの鍵開け用の小道具だ。
ひとつながりの鎖がすっぱりと切れており、おそらくダイヤモンドによって切り裂かれたのだろう。赤く血が付着していた。
「皇女様の部屋におっこってた」
ソレを黙って受け取ると、ヴィトリアルは静かに目を閉じた。
感覚のあまり無い手のひらの中で、その鎖がやけに冷たく感じられた。
拉致されたその日よりヴィトリアルは皇女の盗賊団の団長となり、帝国の公認の盗賊となった。
いつか皇女に報復を、とは思わず、やはり盗賊らしく稼業に有利な皇女の味方につくことを認めたのだった。
団長の足取り 長編になりましたけど戦闘シーン楽しかったです!
ヴィトリアル君拾われたというより完全に拉致されましたがw
スキンヘッドハゲがどうなったかは・・・ご想像にお任せいたします