複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.194 )
日時: 2013/08/17 15:30
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: LGWwjQHc)

カメルリング王国ルート 021


三段ベットの一番下で寝転んでいたルークは、寝付けずにしばらくごろごろと寝返りを打っていたが寝付ける様子は無い。
そこで諦めて、一人王女の住まうこの修道院を散歩がてら探検することにした。
月の光がうっすらと辺りを照らし出し、中庭が美しく月光に濡れている。
「よくミルフィーユさんとラグ寝てられるなぁ」
三段ベットの一番上を占領したミルフィーユは死んだように眠り、真ん中の段で丸まって眠るラグは時折寝言を言うが起きる気配はまったく無い。
ルークは夕方のフランチェスカ王女の愛剣、フランベルジュを引き抜いたときの感覚がまだ体に残っており、その属性剣から放たれた雷の衝撃のせいで興奮して寝付けなかった。
自分がまだ魔道剣士の素質がある珍しい素材だということに実感もわかず、ただ王女の剣と同様に魔法剣である果物ナイフに触れては、紫色の火花が散るのをぼけーッと眺めていた。
そのナイフを腰のベルトにさし、ルークはそっと部屋を出た。

月の光の下で修道院を一人歩くと、この修道院はやはり何処かの遺跡を歩いているような錯覚に陥る。そのまま一人で歩き続けていると、一人のシスターを見つけた。
中庭の方へふらふらと歩き出ている彼女は、目的がなさそうな足取りで歩いていた。
夢遊病なのではないかと思い、ルークは彼女の後を追いかける。中庭のメンヒルの中央には螺旋階段があるので、そこにはまったら怪我をしてしまうかもしれない。
「そこのシスターさん、どうしたの?」
声をかけるとシスターがピクリと反応し、動きを止める。どうやら夢遊病ではないらしい。
「そっち夜は危ないですよ」
足を止めてくれたことにほっとして近寄ると、そのシスターが顔を上げてこちらを見た。
そしてルークの顔を見るなり水色の目を見開いてビックリしたように声を上げた。
「昨日羊番してた、包丁の少年?」
「え?」
ルークは何のことかわからず首を傾げる。確かに実家にいた頃はよく羊番をしていたし、包丁を武器にオオカミから羊を守っていた。
だが昨日は王都にいた上に実家から王都まで三日三晩歩かなくてはならないため、ソレはありえない話だ。
だが包丁と羊、ルークを見たということを考慮すると、ある人物とルークを間違えているのだと思われる。
「多分それ、僕の弟だと思うんですけど・・・どうやってたった一日であそこから王都までやってきたんですか?三日はかかると思うんですけ—」
そこまで言いかけると、突然ものすごい雷の音が響いた。