複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.200 )
- 日時: 2013/08/17 19:32
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: LGWwjQHc)
023 カメルリング王国ルート
真っ青の光を追って修道院の中を走ると、本物の修道し達やシスターたちに出会い、彼らが慌てた様子で走り回る中、ルークはまっすぐ王女の部屋を目指す。
だが、ふと思い立って立ち止まった。
薄暗い廊下に、ルークの所持する小さな魔法剣がぼんやりと輝く。王女の部屋が近いためか、紫というよりは群青色に光っている。
「もし、フランベルジュが敵の手に渡ったら・・・」
魔法剣を扱えるものがもしも敵の中にいたとしたら、大変なことになってしまう。ましてや帝国の差し金というならば尚更だ。
フランチェスカ王女はそのしとやかな外見と裏腹に破壊本能のある高い魔力を有している。きっと彼女にかなう者はいないだろうし、下手に近づくと敵味方関係なく攻撃する魔力にやられてしまう。
シールドを張れる魔導師ユニートと僧侶リグ以外、王女に近づくとかなり危険だ。
ルークはきびすを返すと、修道院の中心、白い十字架の架けられた礼拝堂へと走った。
礼拝堂は静かであり、誰も来た形跡は無かった。白い十字架の下、フランベルジュはまだそこにあり、一筋の光を受けて台座に突き刺さっている。
「良かった無事で」微笑みながら、息が上がって上気する頬のままフランベルジュに駆け寄る。
その柄を人差し指でつつくと、ぱちぱちと紫色の静電気が柄とルークの指先とを結ぶ。
よかった、本物だ。掏り替えられてはいないようだ。
フランベルジュの確保が完了したが、これからどうしようかと悩む。
敵襲の狙いは王女だけなのだろうか、フランベルジュをこの人気のない、簡単に持ち去れるようなところに置き去りにしていいのかわからず、だが持っていく場所も無い。
引き抜けば炸裂音と紫の雷光のせいで目立ち、珍しい剣だと持っていかれるかもしれない。
フランチェスカ王女のことはキリエ牧師とリグ僧侶に任せて、ルークはフランベルジュの傍に座り込んだ。
その頃真っ青な光の中心で、ネグりジュ姿で座り込むフランチェスカ王女は目の前に立ってピンクの杖を振りかざす小さな少女に怯えていた。
「いったい・・・何者なのですか?」
怯えながらもフランチェスカの体の中にある破壊本能むき出しの魔力は、王女が怯えて感情が高ぶるたびに、髪飾りを真っ青に光らせて激しい雷をいくつも落とす。
塔が揺れ、壁は砕け、床に穴が開いてもなお、魔力は止まらない。
「っつぅ・・・ホント底なしって感じね、むかつくじゃない小娘の分際で」
その焼け焦げだらけの部屋で、小さな幼女がシールドを何十にも張りながら額に汗を浮かばせて、微笑んだ。
その瞳はかの宝石のように赤く、金髪の一房を三つ編みにしている幼女は、シールドを再び張りなおした。
雷を落とされるたびにシールドが破壊されていくので、張りなおさなくてはこちらが死んでしまう。
フランチェスカ王女の魔力のほどを調べるために、ルビーのような瞳の幼女は挑戦的に微笑む。「さぁさぁ、アンタの攻撃はソレでおしまいなの?」
「フランチェスカ様に何をさせたいんだあなた方は!」
そこから雷の被害を受けないところで、キリエ牧師とリグ僧侶が相手にしていたのは、修道服を身にまとう二人の男。
一人は冷めたように静かで、淡々と黒い剣でキリエの剣をはじいていく。対して切りかかってくるでもないので、足止めをしているだけらしい。
もうひとりは金色の目立つ剣をもつ、金髪碧眼の少し気取った男であり、リグ僧侶の魔法攻撃に舌打ちしていた。
リグが呪詛を唱えると、猛烈に斬りかかってこようとする。
「グループ班とはやっかいです」
リグが彼の得意攻撃である風属性で二人の敵剣士を蹴散らすが、彼ら二人は修道着の下に鎧でも着ているのだろうか、頬などには傷ができたものの、剣を手に起き上がってくる。
死なない敵相手に戦っているようで、少しゾッとした。
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