複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.209 )
日時: 2013/08/19 22:06
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)

023 ミカイロウィッチ帝国ルート


「シスター・・・?そのナイフは・・・」ぶつかりそうになってお互い飛びのきあった後、エディの持つ果物ナイフと弓矢を見て、メガネの男は不審そうな目を向けてつぶやいた。
あの果物ナイフ男と仲間かもしれない、と逃げようとしたがめがね男のほうが一瞬早かった。
エディにつかみかかると、ナイフを奪おうとしてくる。
「うっ、放しなさいって、ば!」
ナイフを持つ手がお互いに近づいたり離れたりして、いつどちらの身体に突き刺さるかわからない危険な状態に、エディはメガネの男を振り払おうと力を込める。
「そっちこそ、離したらどうです!」とメガネの男が片手でナイフをつかむと、もう片方の手で持っていた黒い本でエディをなぎ払うように殴る。まったくもって先ほどの果物ナイフ男のような慈悲は見せてくれない。
そのまま後方に倒れると、いつの間にか歩いてきていた果物ナイフ男に当たり、そのままクッション代わりに踏み倒す。
果物ナイフ男はしりもちを着いたが、エディはすばやく立ち上がりメガネの男に向き直った。
近距離からでは弓矢は放てないが、エディは鈍器のように弓を構えてメガネの男の隙をうかがった。
この赤褐色の髪のメガネ男は、黒い本以外何も持っていなさそうだ。きっと取り返せる、そう思ったエディの背後で、しりもちを着いて寝転がる果物ナイフ男が声を上げた。
「ユニートさん!」
ユニートと呼ばれたメガネの男は、エディの背後に寝転ぶ果物ナイフ男をちらりと見た。どうやら仲間らしい。
エディはユニートが余所見をしている間に弓を両手で持ちながらユニートにおどりかかった。
だがソレをよけたユニートは、持っていた黒い本を開いた。

何をする気なんだと、エディが眉を寄せると、ユニートが意味のわからない言葉を口にした。
『 ヴァレスト 』その言葉と共に、手のひらほどの炎の塊がユニートの所持する黒い本からいくつか飛び出してきた。
そしてユニートが何か指図すると、炎の塊がエディに向かってやってくる。
この人魔術使った・・・と目を見開いていたエディだったが、きゃっと悲鳴を上げて弓を炎めがけて振り回す。
だが炎は消えず、どんどん弓の弦を焼き、焦げ臭い香りが漂う。
慌ててそれを消すと、エディはナイフを者惜しげに見たが逃げることにした。
エディの使命、王女以外の魔術を使うものを見つけることは達成した。
ユニートという男の人が魔術を使った事実だけでもう十分だろう。これ以上は生きて帰れないかもしれない。
エディは慌てて走り去った。