複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.210 )
- 日時: 2013/08/20 16:51
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
024 ミカイロウィッチ帝国ルート
修道院の中心部、礼拝堂から逃げ出したエディはそのまままだ慌てふためく修道院内を脱出するべく走っていた。
どうやら王宮からシスターたちの知らせを受けて騎士や兵士たちが駆けつけてきたらしく、王女の部屋へ走っていく武装集団が目に留まる。
(みんな逃げたかな?)
エディは兵士たちを横目に、修道院の外へ駆け出した。
出入り口の傍まで来ると、そこに逃げ出す賊を監視する騎士や兵士が沢山おり、エディは慌てて方向転換する。
王女からもらった弓矢を修道服の下へ隠し、そこを突破しようか悩みながらかなり焦っていた。
もう雷光は見えないし真っ青の光も見えない。ということはアーリィ・ゼルフ・シフォン組みは逃げたということだろう。
まだ修道院内にいるかどうかは分からないが、ここから逃げなくてはいけないのは変わりない。
エディは辺りを見回した。修道院は円形の建物であり、王女のための箱庭ならぬ筒庭なのだ。その白い壁は出入り口以外すべて建物の壁となっている。
出入り口から飛び出して、身体検査されなければうまく逃げられるかもしれない。
だが王国の助っ人が来た今、修道院たちが外に飛び出す理由はもうないはずだ。それなのに外に飛び出すということは、敵の疑いがかけられて捕まってしまうかもしれない。
出来るかどうかわからないが、あるひとつの可能性に賭けて、エディは修道院の最上階へと走る。
神殿のようなこの建物のてっぺんは、ドーナツ状になっており、壁はひとつながりになっている。
そこによじ登って修道院の外へ、壁を伝って降りようと考えていたのだ。
さっそく今だざわめく修道士達の間を縫って建物の最上階に来ると、柱によじ登って屋根へと登る。
下のほうから誰かが何か叫ぶのが聞こえ、エディは見つかったことを悟り、急いで壁伝いに降りようと絶壁のふちに駆け寄る。
深い夜の闇が広がっており、強風がエディの腕や足を引っ張ってその深淵にいざなおうとする。
「高い・・・高すぎ・・・」
絶望的な思いでそのふちに腰掛けたエディは、その若干ざらつく滑らかな壁に触れて無理だと悟る。
こんな滑らかな壁越しに降りようとしても落下する。最終手段として矢を突き刺して降りようかと思っていたが、意外としっかり作られた漆喰のレンガの建物はどんなに矢を突き刺そうとしても刺さらない。
矢が真っ二つに折れてしまい、ソレを闇に捨てたエディは呆然と座ったままでいた。
すでにエディの存在はばれたようで、なにやら騒がしい声が沢山聞こえてくる。
「捕まっちゃったらやっぱり・・・殺されるのかな。拷問とか、かけられて死刑とか・・・なるのかな」
絞首刑だろうか、それとも火あぶり?断頭刑かもしれない。とにかく王女を襲った罪により拷問にかけられて洗いざらい聞かれた後、結果的に死刑になるのだろう。
エディはごくりとつばを飲み込み、空を見上げた。
黒い夜空に針で穴を開けたように星がひかり、何かがにやりと微笑んでいるような三日月がエディを見下ろしている。
星に願いをかけようが今の状況は変わらないだろう。あぁもうここで終わりか、拷問にかけられる前に飛び降りよう、そう思って両手に力を入れ、踏ん張った途端、『 ヴァレンフレア 』とどこかで幼いが強気な声が何か叫んだ。
ふいに意地悪そうに笑う三日月も星の光も急速に見えなくなり、鈍い振動が建物を揺るがす。
猛烈な破壊音がとどろき、エディの座っていた地面もろとも崩れ落ちる。
『 』—ひぃっと声を上げて目を見開いたエディは誰かが何か叫ぶ声を聞いて急に落下が遅くなるのを感じた。
強風が吹き、崩れた絶壁の間を風圧に緩和されながらゆっくり落ちていく。
そのままふんわりうつぶせに瓦礫の山の上に落下するエディは、高所から落下したというのに怪我ひとつなかった。
どういうだろうときょとんとしていると、崩れた壁の向こう、修道院の内側でアーリィと銀髪の緑の服を着た男が向かい合っているのが見えた。
アーリィがピンクの杖を振り回しながら笑顔で叫ぶのが聞こえる。
『 エクスプロージョン 』というアーリィの声に続き、建物が隕石が落下したクレーターのように壮大な爆発音と共に陥没していく。
『 』と負けじと銀髪の男も何かを叫び、その破壊された岩やらをアーリィへと風圧によって吹き飛ばす。
魔術対決を息を呑んで見ていたエディは誰かがこちらに走ってくるのに気付き、顔を上げた。
そこには修道服姿のまま黒い剣を振りかざすゼルフと金の美しい装飾のされた剣を持つシフォンがおり、エディを引っ張るように立たせるとアーリィに叫んだ。
「おい、いたぞ!これでそろったから逃げるぞ」
「ちぇー、いまいいとこなのに!」
その声に反応して銀髪の黒いメイスの男がきびすを返したアーリィに話しかける。
「おやもうお帰りですか、ピンクさん。修道院を破壊しておいてトン面するつもりですか」
その声にピタリとアーリィが足を止めた