複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.219 )
- 日時: 2013/08/22 19:07
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: vXApQJMC)
028 カメルリング王国ルート
礼拝堂を出ると、赤い炎の色が空を焼いていた。建物の一部が半壊し、修道院は王に爆破される前から半ば壊されていた。
修道士達は慌てたように逃げ惑い、鎮火する者もいたがもはや無理だと悟って涙ながらに走り去っていく。
修道士達にとって聖域である修道院は彼らの家であり、神と対話する安静の地だったというのに、いまや煉獄と化している。
「何でこんなことに・・・ミルフィーユさんやラグは・・・?」むっとするような炎の暑さに耐えながら、ルークは唖然として焼け崩れる修道院の方へ歩き出す。
だがその服の裾を引っつかみ、ラルスが叫ぶ。
「ほとんど避難している!少年も早く出口に急げ!この火は帝国の魔術師が放ったもので、消せないんだ」
出口へと走りながら、逃げ惑う修道士を出口へと誘導し、いつの間にか大御所になりながら出口へやってくるとそこは煉獄の坩堝だった。
「アレって・・・あの女の子が魔女?」
炎を杖から吹き出しながらすばやく口から呪文を放つ幼女は、リグ僧侶と戦っていた。
出入り口の傍で戦うので、出口へとかけてきた修道士達は逃げることが出来ず、戸惑いに悲鳴を上げている。
出口と崩れて瓦礫の山と化す壁の跡地が唯一、逃げ出せるところだった。だが瓦礫の山はうず高く、登るには時間がかかりそうだ。
「このままじゃみんな爆発で・・・」ルークがつぶやいた途端、急にユニートが本を開き何かを唱えた。
『 』
黒い魔方陣が空中に現われ、ソレが鼓動すると、その中心から何かが飛び出してきた。
体長三十センチ弱、頭に大きな花びらを帽子のように咲かせ、背中に透明な羽のある逆さまつげの生命体が、召喚されたらしい。
人の姿を取る妖精のようなこのかわいらしい生命体は、その薄紫色の大きな瞳で、ユニートを眺めた。
その妖精に、ユニートは大真面目で命令した。
「妖魔ハニーに命じる、瓦礫をどかして人が通れるようにしろ」
はーい、と愛らしい声で返事したその妖魔は、軽やかに飛んで瓦礫の上に着地した。
唖然としてみていたルークは、ユニートにつぶやく。
「え、いや、瓦礫どかすとか無理じゃ—」
「ほいっ」
だがその妖魔ハニーは笑顔のまま軽がるとその瓦礫を持ち上げ、そして放り投げていく。
「ほら、ルーク君はやく行け」
ハニーがてきぱきと瓦礫をどかすおかげでひとつの道が現われ、ユニートはルークの背中を押した。
見上げたユニートの奥では、ラルスが修道士達を出口へと誘導し、声を上げている。
「フランベルジュを頼んだよ」
ルークは頷いて、その一本道へと走り出した。
ちなみに召喚は補助魔法です