複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.223 )
日時: 2013/08/23 11:55
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: vXApQJMC)

029 カメルリング王国ルート


一本道を無我夢中で走っていたルークは前方を見てはっと足を止めた。
魔術対決により破壊された壁のそば、瓦礫の合間に人が三人、たたずんでいた。
彼らはそろいもそろって修道服を着ており、じっと逃げることもせずに魔術対決を見ている。
もうすぐここは爆破されますよ!と大声で叫ぼうとした瞬間、炎に照らされて修道士達の顔が一瞬見えた。
「似非シスター・・・」
二人の背の高い修道士に挟まれて、ルークの魔法剣を奪おうとした少女がそこに立っていたのだ。

捕まえよう、なぜだか急にそう思い立ったルークは、彼らに忍び寄る。
ポニーテールの似非シスターの両隣にい修道士たちが彼女の仲間なのか知らないが、どうしようもない怒りに駆られていた。
美しい庭園も、礼儀正しい修道士達も、みな彼らのせいで消し去られてしまう。
おまけに太ももを撃たれたことも思い出し、自分の中の思考内温度が急激に下がっていく。
非情なほどの冷徹な心が鎌首をもたげる。
今ならナイフで彼女を刺せる気がした。

三人組は燃え盛る炎の音にかき消されるルークの足音には気付かず、眉間にシワを寄せながら魔術対決を眺めていた。
だが気配を感じてだろうか、黒髪の修道士が振り返る。その手には真っ黒い剣が握られており、ソレを見るとルークはためらいもせずまずポニーテールの少女に切りかかった。
バチバチ閃光を放つナイフで太ももを刺された少女がうっと悲鳴を上げ、前かがみに瓦礫へと倒れる。
どうやら雷属性を纏うこのナイフは刺されたものを麻痺させる、痺れさせるといった付加を与えられるらしい。

少女からナイフを引き抜き、頬にナイフから跳ねた血がつく。
すると最初に振り返った黒い剣の男が「敵か」とつぶやき、ルークに蹴りを浴びせ、転ばせてから剣を構える。
瓦礫から転がってしりもちを着いたルークを見下ろし、黒剣の男は金髪の修道士に言った。
「シフォン殿、あの魔女をさっさと回収してきてくれ」
「このわたくしに死ねと?・・・しょうがないですねぇ」
文句を言っていたが金髪の修道士、シフォンは金の剣を構えて瓦礫から飛び降り、見事に着地すると魔術対決の中へ突進していく。
「さて、少年。お前の持っているソレは、魔法剣・・・か?」
「・・・・・・・」
黒剣の男に尋ねられるが、ルークは蹴られた痛みなどものともせず、ナイフを片手に妙に目が据わった瞳で黙り込む。
はじめて人を刺したというのに、そんなことはすっかり忘れていた。心の黒い部分に侵食され、目の前の黒剣の男に切りかかることしか考えられない。
しりもちを着いた状態で黙るルークを見、「手土産ができそうだな」とつぶやいた黒剣の男は瓦礫を蹴り、跳躍するとルークの傍に着地した。
その着地した足を狙ってルークがナイフを突きつけるが、ソレをひらりとかわした男は何を思ったのか黒剣の鞘を手に取り、ソレをルークめがけて振り下ろした。


ルーク君病み(闇)ルート突入