複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ?【オリキャラ募集】 ( No.23 )
日時: 2013/08/01 14:27
名前: メルマーク (ID: TM72TTmK)

004 カメルリング王国ルート

「いや、だから僕は騎士になるために—」ルークは隣で羊肉のローストに舌鼓を打っているミルフィーユに慌てた口調で言うが、肝心の貴族風の男は聞いていない。
「ミルフィーユさん聞いてくださいって、僕は騎士になるのであって、発明家の弟子にはならないんですってば」
「素晴らしいね、やっぱり羊のローストマトンはシュタイン婦人の手料理に限りますよ!」
コントのような光景を見て大男達が陽気に笑い、ルークにもう諦めろと、何がそんなに面白いのか大笑いしながら言う。
酒が回って簡単なことで笑ってしまうのだろう。ルークにしてみれば迷惑な話だった。
「でもねぇ、ボウヤ」シュタイン婦人—シュタイン亭の女将はカウンターにひじをつけて少し顔をしかめて言う。
「はっきり言って、一般人が騎士になるのって難しいのよ?大抵は貴族の出なんだから・・・戦歴が長くて実力があるなら採用されるかもしれないけど、ボウヤ戦歴0年でしょ?」
う、とルークは言葉に詰まる。騎士に簡単にはなれないことは分かっていた。戦歴0年、武器は果物ナイフの羊飼いの少年が騎士になれるわけがない。
更に追い討ちをかけるように、女将さんはささやく。
「いくら戦争に備えて兵を募集しているからといって、誰でも選ばれるわけじゃないのよ?ここはミルフィーユさんの弟子になったほうが得策じゃない?」
うぅ、とうなだれて隣のミルフィーユを見ると、にこやかに笑いを返してくる。
こういうときだけ話を聞いてるんだよなぁとぼやきつつ、黙っていた。
騎士になってこの国を勝たせたい。戦争が終われば豊かになる国を願って、ルークは騎士になり国に貢献しようとしていた。
けれど騎士になれるのは貴族や歴戦の勇士たち。
騎士にこだわる必要ってあるのか?他の方法で国のためになれないかな?戦争に勝つ方法はないのかな?

「ご馳走様。相も変わらずおいしかったですよ、ほっぺたが落ちるかと思いました」いいながら、代金を払ってミルフィーユが立ち上がる。
酒を飲んで笑いあっていた連中が、ルークがどういった決断を選ぶのか静かに見守る。
「どうする、少年」
黙っていると、女将さんが助け舟を出す。
「一日、発明家の弟子をしてみたらどうかしら?気に入ればそのまま弟子になればいいわ。それにミルフィーユさんは資産家だから結構顔が広いのよ。騎士や傭兵の知り合いもいるから、一応ついていったら?」
一人で王宮に行ったって、門前払いされるに決まっている。ならばここは資産家のコネを使いつつ、世間に渡った方が賢い。
ルークは心を決めると、ミルフィーユにお辞儀をしながらいう。
「そ、それじゃ、一日弟子にしてください。よろしくお願いします」