複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.232 )
- 日時: 2013/08/24 19:40
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: LGWwjQHc)
026 ミカイロウィッチ帝国ルート
エディが今この瞬間に刺されていることも知らず、呪詛を叫びながらアーリィは目の前に立つ男、リグレットを強くにらんでいた。
銀髪をゆるく三つ編みにした、真っ青の宝石のような瞳をしたこの男とアーリィは因縁の中だった。
戦いながら思い出すのはとある過去。
帝国と王国とが争いをする一年前、アーリィは世界中を巡っていた。何年経っても幼いその姿である日、観光目的でとある国に着いた。
そこは帝国と王国から少し離れた国であり、永世中立国として戦争には肩入れしない平和主義国だった。
そこで旅巡りの芸子集団による見世物があり、それも結構な人気で人だかりが出来ていた。
買い食いや観光をしていたアーリィは市場で手に入れた菓子パン片手にその人ごみへ幼児体系を利用してすべりこむ。
人々の腰やら背中が邪魔をする中、アーリィが見つけたぽっかりと開けた空間は、丁度芸子の見世物が良く見えた。
踊り子、抱えるほどもある大きなオルゴール機の演奏、ジャグラー・・・さまざまな見世物に目を輝かせていたアーリィ。
そして旅芸団の最年少によるパペットが始まり、6歳の美少年が右手にネコ、左手にイヌのパペットをはめて前へ出てくる。
青い星のような瞳をしたその少年は何もしなくても十分見世物になるほど綺麗な顔立ちをしており、ざわりと人ごみがどよめく。
さてどんな芸なのか、アーリィも楽しみにしていると、ふいに視界がさえぎられてしまう。
見上げると銀髪の少々根暗そうな若者が、黒いメイス片手に立っていた。どうやらアーリィの存在に気付いておらず、美少年にひきつけられた人々に押されてここに—アーリィの目の前に追いやられたらしい。
迷惑そうだったが、まぁ見れれば別にいいやという顔をしたその人は驚くほど背が高く、アーリィにとってはかなり迷惑な人だった。
「ちょ、ちょっと見えな——」
きゃーだとかわーだとか、そういった歓声がアーリィの声を掻き消した。どうやら例の美少年のパペットが始まったらしく、人々の歓声が耳に痛い。
「みーえーなーいー!」
そう叫んでも男はどかず、むしろ気付かないのでムカッとした彼女はピンクの杖で男の太ももをフルスイングした。
「——?」ちょっと迷惑そうに振り返ったその男はむっとするアーリィとピンクの杖を見る。
「みーえーなーいーのー!」
あぁごめんねお嬢さん、と微笑んだその人はアーリィに場所を譲るが、お目当てのパペットはすでに終了していた。
それどころかすべての演目が終わってしまった様で、徐々に人の輪がほどけていく。
「ごめんねお嬢さん」
「お嬢さんなんて呼ぶんじゃないこの—」
「じゃあピンクさん?」
「おいもう行くよ、リグレット—」
見れなかった上に、へんな呼び方するんじゃないわよ!と腹を立てたアーリィが男に食って掛かると、その男を遠くから呼ぶ声がする。
銀髪の男、リグレットはその姿からわかるようにどうやら僧侶の殉教の最中らしく、仲間も似たような僧侶の服を着ていた。
その街にいる間中アーリィはリグレットに目をつけて機会があればこてんぱんにしようと思っていたのだが、二日ほどたつと殉教が終わったらしく忽然と姿を消した。
だがその男が8年の歳月をかけて目の前に立っている。
あのときの恨み、今晴らしてやる。
アーリィはかわいらしい顔に鋭い笑みを湛え、ピンクの杖を振り上げた。
時間軸的にエディが刺された直後、シフォンさんが飛び込む前ですね
ターン制は時間軸に縛られてしまう・・・
ちょっと訂正がw
自分で年代設定したのにちょっとつじつまが合わなくなるので修正を;
5年→8年
9歳→6歳 きっとこの歳でもとんでも美少年!