複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照二千記念のアンケート実施! ( No.246 )
日時: 2013/08/26 20:58
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: V8vi7l6T)

029 ミカイロウィッチ帝国ルート



追手の気配もなく、盗賊団はやがてなだらかな丘をすべるように下った。
夜があけ掛かる空に、星がうっすらと滲んで見える。かくも美しいこの丘は、言わずともわかる星の名所だ。
その星の丘で彼らは、怪我人の手当てをかねて手に入れた情報を報告しあっていた。

「それにしても、ためらいも無く刺されたんだな」
エディの手当てをし終わったあと、両手が血でべっとりと汚れているのを見て、ヴィトリアルが目を丸くする。
表面上簡単な作戦だったのだが、その割りに負傷者は多かった。
シフォンは額を、エディは足を怪我し、ゼルフに至っては魔術師のようなものに妙な術をかけられて、剣が重いと感じて持つことが出来ない。
魔術の類は自称最強の魔女、アーリィに任せればいいと思っていたのだが・・・
「へんなの。これ魔術じゃないでしょ」
ゼルフのことをじっくり観察したアーリィは、肩をすくめてそう呟いた。
負傷者の手当てを引き受けていたヴィトリアルは、やれやれと血をぬぐいながら包帯を荷車へと放り投げた。
「物の重力を重くするとか、そんなヤツじゃないのか?」
ゼルフが首を傾げて問うと、アーリィはううんと首を振る。
「魔術って言うのは自然現象を固形化したもので、そういうことは出来ないのよ。とくに魔術が廃れつつあるこの現代ではね」
「そう、なのか・・・?」
この中で魔術に通ずるものはアーリィのみ。他の連中は魔術に対する知識など皆無で、魔術の前では生まれたての赤ん坊同然だ。
そうよ?と子供を諭すように、アーリィは人差し指を立てて微笑んだ。
「魔術には7属性があって—」


魔術には7つの属性がある。
炎・雷・氷・風・光・闇・地、である。
自然の力を固形化し、それを武器として使役する攻撃属性は先の四つ。
保護・補助の特殊効果を持つ属性が攻撃属性のあとの二つ。
そして自然の最も強い力である、治癒をつかさどる属性が最後のひとつだ。
 攻撃属性の四つにはそれぞれ禁忌の呪詛があり、使役すれば莫大な被害をこうむると言う。
攻撃属性は自然現象の固形化、すなわち炎・雷・氷・風—自然災害を魔術師の手によって人工的に出現させることである。
 光・闇・地にも効果の大きな呪詛があり、それらは扱いが難しい事で知られる。


「?・・・良くわからんが?重力も自然なのではないのか?」
アーリィの説明を黙って聞いていたゼルフが、無表情のまま呟く。
そのきょとんとする顔を見て、アーリィがしょうがないわねぇと先を続けた。
「あ〜はいはい、もうちょっと説明すると—」


たとえ魔術師でも空を飛ぶ、重力を変化させる、水中で呼吸できるようにする、動物と会話する、瞬間移動する—などということは出来ない。
攻撃、攻撃を補佐する、攻撃から身を守る、攻撃による損害を癒す等がメインなのだ。
メルヘンチックに空を飛ぶことも、動物と会話することも、重力を変化させることも出来ない。
太古に定められ、途切れることなく魔術師に伝わってきた呪詛はすべて破壊に関するものだけだった。


「魔術って意外とすごくないのかもな。ところで、ゼルフはどうしてこんな事になっているんだ?魔術じゃ出来ないんだろ?」
腕を組んで道端に座り込んだヴィトリアルが、不思議そうにたずねる。
魔術でもそのようなことが出来ないとすると、ゼルフを蝕むこの状態はどういうものなのだろうか?
「魔術ではない何か—・・・であると思われるわね。もしかしたらそうねぇ・・・ひょっとするとイヴやクウヤの方がアタシより詳しいと思うわね」
なぞめいた発言をした後アーリィはケロリと笑顔に戻り、さぁ出発するわよ!と高らかに呼びかけた。



魔術の説明をアーリィちゃんにしてもらいましたが・・・あれ、自分でも何かいてるかわかんなくなったぞ?

知ってて欲しいこと!ランキング!!

1.攻撃魔法 炎 雷 氷 風 の四種類
魔術師・魔導師はこのどれかひとつをメインとして極める
魔術師・魔導師は光・闇・地+自分の攻撃属性(をメインに)を使うことができる

2.光・闇は特殊効果あり
シールド、辺りを照らす等、保護は光属性。
魔族召喚、辺りを暗くする等、補助は闇属性。

3.唯一の癒し
治癒、完全回復などをもたらすものは地属性。

4.段階
呪詛にも威力の差がある。(例:炎を灯す程度〜炎地獄)
高位な魔術ほど魔力と精神力を消費し、長い詠唱をするとそれらの消費を抑えられるが、魔術発動が遅くなる。

長くなりましたが、123を知っていれば問題はないです
4は本編で順を追って場面説明されるので心配しないでください