複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照二千記念のアンケート実施! ( No.257 )
- 日時: 2013/08/28 20:35
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: V8vi7l6T)
参照二千記念 番外編015 とあるメイドの追走劇
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わめき散らす腹の虫を黙らせるために市場を散策していると、アイスクリーム売りの屋台が目に留まりエディはそこへ足を向ける。
ミカイロウィッチ帝国はそこまで熱くはないが、潮風のおかげでのどが渇きやすい。
おまけにカメルリング王国のように木漏れ日が無いので、地面が熱を吸収しやすいのだ。地面が熱くなると気温も上がる。よってアイスクリームなど氷菓子の類は人気がある。
エディもリンも、シュナイテッター伯爵もそれが大好きだった。
(リンともう一回ここにきてもう一個アイス食べよっと)
そんなことを考えながら行列に並び続けると、後ろからささやくような声が聞こえてきた。
冷めた穏やかな声だが、どこかそっけない感じの漂うその声が、何かの計算をしている。
「5÷3=1.666・・・サイトさん、約130秒後に順番が巡ってきますよ」
「ほーぅ?お前さんが頭を使うことが好きなのも良くわかったよ」
妙な計算をして待ち時間を割り出したその人を思わず振り返ったエディはその格好を見て少し驚いた。
正体を隠すように目元までフードを深くかぶり、露出した指先やのど元、右目を覆うように包帯が巻かれている。
大らかそうに笑う笑顔の絶えない老人と、目深までフードをかぶった黒いコートの青年の組み合わせは結構浮いていた。
列が動き、エディは慌てて前へ進む。だが聴覚と神経は後ろの代わった人たちに向けたままだ。
「それよりもソーサラー君、熱くないのかね?私は結構熱いが」
「熱いです・・・」
「海にでも泳ぎに行くかね?ミカイロウィッチ帝国といえばアイスと海だからね」
「僕はアイス食べながら浜辺に座ってます。僕が熱射病で倒れる前に泳ぎ終わってくださいね」
「ふむ・・・では君にはアイスを大量に渡しておきながら私は海をしごく堪能することにしよう」
「お嬢さん、どうぞ」
会話に聞き入っているといつの間にか順番が巡ってきた様で、アイスクリームを受け取るエディ。
風変わりな旅人達は計算通り130秒立った現在、たくさんのアイスクリームを抱えて屋台から離れていく。
包帯の青年がちょっと嬉しそうに包帯だらけの手でアイスを持ちながら隣を歩く老人に慌てて忠告するのが聞こえた。
「—あ、でもサイトさんが溺れたとしても僕には応急処置は出来ませんからね。やり方知りませんし」
「何、私が溺れたとき君のやるべきことは、できるだけ美しい女性に応急処置を頼むだけでいい」
「出来るだけ美しい女性を、ですか?・・・一応・・・探しておきますけど・・・」
変な人達だなぁとアイスクリーム片手に彼らを見送ったエディは、そろそろリンに会いたくなり、仕立て屋に足を向けることにした。
いろいろ過去の遭遇が入っております!
サイトさんが変態爺さんになry いや、きっと冗談だと思います冗談だと思いたいw
ソーサラーのその後が見たいというアレが以前あったので、サイトさんにつれまわされている道中のヤツを放り込みました
サイトさんが美女に囲まれて海水浴してる中浜辺で黙々とアイス食べてる様子でも想像してやってくださいw
ちなみにコイツの計算”リトルの公式”といって実在します
前方に並ぶ人の数÷一分後に自分の背後に並んだ人数=待ち時間(分)
という大層便利な公式ですので、レジの待ち時間とかにヒマでしたら計算してみてください