複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照2000ありがとう御座います! ( No.264 )
- 日時: 2013/08/29 18:01
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: V8vi7l6T)
参照二千記念 番外編018 傭兵の黒と従者の白
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帝国王国を又にかける盗賊集団。彼らの行動はかなり目立つくせに、散々探し回らないと彼らの情報は見つからなかった。
帝国の酒屋などから情報を聞きだすこと一週間、やっと彼らの情報が集まった。
「二日前に樹海入りをしたらしい。俺達は樹海に待機して、奴らが帰ってきたところを潰す」
それでいいな?と宿屋のいつものポジションでゼルフが確認すると、ジョレスもミレアもすでに剣呑そうな雰囲気を漂わせながら頷く。
そして一週間後—…真夜中まで盗賊団を樹海の中で待ち伏せしていた彼らの前に、夜霧に包まれて盗賊団がやってくる。
ゼルフは黒い剣を構え、ミレアはレイピアを、ジョレスは双剣を構える。
大収穫だったのだろう、嬉しそうに笑いあいながらロバに引かせた荷車を転がして、ゼルフの斬程圏内へと足を踏み込む。
盗賊たちにとって未曾有の瞬間—霧を掻き分けて黒いシルエットが空中に踊った。
「奇襲だ—」そう先頭にいた男が叫ぶ前にゼルフが思い切り振りかざした剣がその男に突き刺さる。
それを皮切りに、ゼルフの傍からジョレスやミレアも飛び出し、盗賊団と戦闘していく。
完全に出鼻をくじかれた盗賊団は霧の中、間違えて仲間を刺したり、ロバが怯えて逃げるのを防ごうと武器を使えないという不運が続き、どんどんその数を減らしていく。
ミレアが金品を抱えて一人だけ逃げようとする盗賊団の背中から胸にかけてを刺し貫き、すぐに引き抜いて横一線に盗賊へ鋭い針で線を引くように切り裂く。
その合間に混じってジョレスが双剣を凪ぎまわし、殺すまではいかないが身動きの取れないほどの怪我を負わせる。
ジョレスはまだ、ゼルフ・ミレアと組んでから人の命を奪ったことが無く、殺すという行為をためらっていた。
だが傭兵になれば近いうちに誰かの命を奪わなくてはならない。
「ちっ、こんなガキどもにやられるとは情けないやつらね」
三人の剣にかかって盗賊団は2人を残し、後は戦闘不能・もしくは死んでいた。
先ほどまでゼルフが寄りかかって眠っていた岩には、生々しい戦いの痕がこびりついている。
残った男女2人の盗賊はほぼ無傷であり、盾のように仲間を使っている卑劣な屋輩だった。
とりあえず盗賊団の中でも彼らは強い部類に入るのだろう、持っている長めのサーベルもどこか使い古されたような印象がある。
「なんと言おうが、お前たちの命は貰う」
冷静にそう呟いたゼルフは黒い剣を構えて間合いをつめた。
オオカミが狩をするときのように獲物をぐるりと取り囲む、そのような陣形に広がりながら、二人の盗賊を輪の中に納めると、盗賊がにやりと笑う。
「俺はガキを殺すのがすきなんだ」
そう叫ぶなり、男がミレアに飛び掛り、女は助けに入ったジョレスに切りかかる。
ミレアの刀身の細いレイピアは硬いけれど本来突き刺すための剣だ。それが強い力を込められたサーベルを長時間支えるのは無理があり、いつ亀裂が入るかわからない。
だがむしろ視界の端で自分を助けに来ようとして女にサーベルで切りかかられているジョレスが気になってしょうがない。
敵にとどめをさせないという甘いところがあり、双剣で相手の隙を突いて心臓や腹部に剣をさせるチャンスがあっても、それが出来ない仲間は見ていて危なっかしい。
追い詰められるジョレスをゼルフが助けに入り、大きな黒い剣で女をサーベルごと弾き飛ばす。
「えぃ、やッ!」
それを見て安心したミレアは、足の力を抜いて背中から倒れる。
そのまま後転し、曲げた両足を思い切り突っ張って男の腹部を蹴り上げ、転がる勢いに任せて男を投げ出す
男はそのまま飛ばされ、顔面から地面に放り出され、すばやく立ち上がったミレアにとどめを刺される。
振り返ると、サーベルの女がゼルフに完璧にとどめを刺されているところであり、ジョレスが呆然とその光景を見つめている。
サーベルの女が事切れると、ゼルフは遺体を一箇所に集めようとずるずる引きずっており、ミレアもジョレスもそれに習って凄惨な彼らを一箇所にまとめる。
「そのロバちゃんどうする?」
サーベル男の片手を引っ張りながらミレアがゼルフにたずねると、ゼルフは穏やかな表情でロバに触ろうとしているのが見えた。
結構動物が好きらしく、剣を手放すと穏やかな一面が舞い戻ってくる。
大人しくゼルフに撫でられているロバをしげしげと眺めながら、「どうせ盗賊団の連中が何処かから盗んできたんだろ?返しに行こう」とジョレスが言う。
—が、語尾が終わる前に、ジョレスが何か叫んだ。
意味を理解できないまま硬直していたミレアは、急に風を感じて視線を落とす。
すると、自分がとどめを刺したはずのサーベル男が、残忍な笑みを浮かべたままサーベルをミレアの腹に叩き込もうとふるっていた。
傭兵たち楽しい!バトルバトル!
戦闘が入ると妙に楽しい
テンションが異常ですねわかります