複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照2000ありがとう御座います! ( No.288 )
- 日時: 2013/09/07 19:56
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: V8vi7l6T)
033 カメルリング王国ルート
両開きの扉の向こうは、この国のどこよりも緊張感にあふれていた。
白い大理石に包まれた空間、垂れ幕のように垂れ下がる王家の紋章、その最深部で玉座に鎮座する国王夫妻。仲睦まじいと有名な国王夫妻は、今日は恐い顔をしていた。
早速ユニートが重々しくお辞儀をし、頭をたれたまま口を開く。
「ルーク・ブランドリスが目を覚ましましたので、連れて参りました」
急に名前を呼ばれたルークは、突き刺さるような視線を感じてあわててユニートの真似をして深くお辞儀をする。
頭に血が上る感覚がする中、隣で頭を下げているシランがにやりと笑ったような気がした。
つらつらと挨拶文句を並べ立てるユニートの言葉は長く、全身の血液が頭に集中しくらくらしてきた頃、国王がうめくように言う。
「そのような言葉はよい、頭も上げよ。それよりも先にやらねばならない事があるだろう、トラシヴァ?」
「そうでしたね、陛下」
言われてユニートが頭を上げたので、ルークはほっとしたように赤くなった顔を上げる。
改めて見回すと、とても広い部屋だ。謁見の間にはルークたちのほかに、騎士や傭兵隊長と思しき人々が大勢詰め掛けており、ひょっとしたらジョレスやノイアーも居るかも知れないが、人の波が多くて良くわからない。
(ミルフィーユさんやラグも居るって言ってたけど・・・どこにいるんだろ?)
さすがに国王の御前、きょろきょろするわけにもいかず目だけで人の波を見るが、彼らの姿は見つからない。
肩をすくめていると玉座の国王が立ち上がり、肩を怒らせながら口を開く。
「さて、王国の武力集団に集ってもらったのは、昨夜の修道院襲撃事件の首謀がミカイロウィッチの皇女だということだからだ。今や冷戦は破られた。いつ戦が勃発してもおかしくはない」
皆緊張したように玉座を眺めており、王の言葉に一新に耳を傾けている。
「そこで我が国は帝国に先制攻撃を投じる。騎士団長、傭兵団長、魔道部隊団長、みな心しておくように。そして発明家や科学者達は新たな武器を開発し、なんとしてでも帝国を潰すために尽力せよ!」
国王が天井に向かって拳を上げると、打てば鳴るように咆哮が答える。
あぁ、戦争が始まるのか。