複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照2000ありがとう御座います! ( No.295 )
- 日時: 2013/09/14 01:19
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: mJFNTt4F)
035 カメルリング王国ルート
僕が騎士、僕が騎士・・・信じられない。
そんな思いがぐるぐると脳裏を巡る間、国王の祝いの演説か何かは終わり、ぴっちりと整列した騎士や衛兵達が出て行く。
やがて謁見の間には国王夫妻とその子供たち、そして一握りの人間しかいなくなった。
そこでやっとルークはミルフィーユとラグを発見し、思わず国王の前だということを忘れて駆け寄りそうになった。
だがなにやら、ミルフィーユは腕を組み、目を細めて何かにいらだっている様だった。隣にたたずむラグは、そんなミルフィーユをおたおたしながら見つめている。
「さて、謁見の間に残ってもらった者は発明家一家、王国魔導部隊、我が国の白騎士団長・・・」
国王が玉座に鎮座しながら謁見の間に集う彼らをじっと見渡しながら口を開く。
だが何か足りないことに気付いた様で、一端黙った後、目を細めてたずねた。
「ファウストゥスはどうした?また引きこもっておるのか?」
「あー・・・カルマは夜行性なもので・・・朝昼は研究室から出てきません」
「ふむ、困った者だな。まぁよい」
(王様の呼び出しにも答えない人っているんだ・・・。夜行性って、人じゃない生命体なのか?)
国王様それでいいのか、と突っ込みたくなるような反応しかしない国王は、カルマ・ファウストゥスの不在に気分を害することなく話をもとに戻した。
「ここに集まった者は皆、次の戦争で活躍してもらう。発明家一家は武器を開発し、魔導部隊は戦士達の合間から攻撃をするのだ。次の戦いは一ヶ月以内、その間にしっかりと鍛錬を積め!次なる戦争で帝国を潰すのだ!」
ははぁ、と皆が頭を下げるので、ルークも慌てて頭を下げる。だが、その場でただ一人、頭を下げないものがいた。
国王がそれを見咎め、眉を寄せながらたずねる。
「まだ納得しないのか、発明家」
「えぇ、もちろんです陛下」
唸るような低い王の問いに、ミルフィーユはまるで恐くないというように簡単に頷いてみせる。腕を組み、仁王立ちになって王をまっすぐ見据えている。
「この国のためになぜ尽力しない?」
「私に殺人兵器を作れと?もう黒色火薬の件でうんざりです。私の創りあげた火薬が、教会を爆破することに使われた・・・幸い死人は出ませんでしたが私はアレでもうこりごりですね」
ルークの気絶している間、教会は爆破されたという、その爆薬がミルフィーユの発明品だったとは、ルークは初耳だった。
「暗殺者シェルレイド嬢の話によれば毒煙爆弾を作っていたそうだが?」
「死に至るほどの毒じゃありませんからね。ですが、国王の求めるものは殺人兵器、私にはそんなことは—」
王の問いにミルフィーユがすばやく切り返し、断固として兵器の発明を拒否すると、国王は怒ったように玉座の肘掛部分を強くつかんだ。
そして話にならないと思い切り玉座に身をうずめると、いらだったように口を開く。
「魔導部隊はフランチェスカをつれて研究室へ行きなさい。後は残れ、話がまだある」
それでは失礼して、とお辞儀をしてユニートが動くので、ルークとシランは慌ててその後についていく。
フランチェスカを先頭に扉を潜り抜ける頃には、背後で再び国王とミルフィーユのつばぜり合いが開始した。
「それでは、研究室に参りましょうか。あそこにはキリエ牧師様とリグ僧侶様もおいでになられています」
研究室って何?という顔をしたルークに、シランが耳打ちする。
「魔力のあるものが魔導師や魔術師になるために研究する部屋のことだよ。僕には理解不能な魔力を持った言葉で書かれた本とかが大量にある、図書室みたいなところ・・・かな?」
「へぇ・・・・・・?」
郊外出身のルークは、生まれてこの方図書室を見たことがなく、本が天井まで高く詰まれた部屋を想像し、少しわくわくしながら一行に付き従った。
そういえば今日(正確には昨日)は十三日の金曜日でしたね
レアですね。フレディーでしたっけ?