複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照2000ありがとう御座います! ( No.298 )
- 日時: 2013/09/14 17:58
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: mJFNTt4F)
031 ミカイロウィッチ帝国ルート
盗賊団+騎士がカメルリング王都を脱出してから三日後、彼らはルークの弟と家族が住む実家付近までたどりついていた。
時刻は早朝、樹海の海沿いには帝都まで搬送してくれる船が居るはずである。
「さー、いくぞ野郎共ー」
不必要になった貿易商人の衣服や荷車を樹海際に廃棄したあと、団長であるヴィトリアルが気の抜けた号令をかけ、彼らは樹海の中へ入っていった。
「朝でも暗いですね、樹海って・・・」
木漏れ日もめったにない樹海の中でエディがつぶやくと、アーリィがそうねぇと合図地を打つ。
団長を先頭、その後ろに着き従うようにシフォンとゼルフがおり、アーリィとエディは最後尾を歩いていた。
するとアーリィはおもむろに手のひらを差し出し、口を動かした。
「『 』」
その瞬間ぱっとその手のひらに光の塊が灯り、アーリィが得意げににやけた。
「これは保護の光属性の呪詛。『 』ってやつ」
「はぁ・・・?」
エディの反応が薄かったのが気に食わなかったようでアーリィはほっぺたを膨らませると、杖を振り上げた。
「むー・・・じゃこれはどう?『 』!」
やたら長い口パクのあと、樹海に異変が起こった。杖を掲げたアーリィを中心に影という影が生き物のように動き、波が引くように何処かへ消えていく。
木々も地面も盗賊団も、まるで太陽に照らされているように体のどこにも影がなく、異様な光景が辺りを取り巻いていた。
「おい、なんなんだ?」「影が消えていきましたよどこかに・・・」
前方で仲間が騒ぐぎ、アーリィが得意げに笑う。エディはどういった反応を取れば良いかわからず、目をしばたくばかり。
「あんたねー、魔力持ってる人間の癖にアタシに言うことないの?」
そんなエディの反応に、アーリィが腰に手を当ててむくれる。
「言っておくけど帝国にアタシほど優秀な魔女いないんだからね!」
そこで何を言わんとしているか察知し、エディは思わず噴出しそうになった。
「はいすみません、あたしのお師匠様になってください」
「ふん、アタシの弟子になりたいなら覚悟するのね!・・・・・・とりあえず、さっきの光を灯すだけの呪詛と闇をなぎ払う呪詛をさっそく教えてあげるわ」
かなり乗り気のアーリィは杖で地面に何か文字を書く。
立ち止まってなにやら魔術の講義授業を始めた仲間を置いていくに置いていけず、団長と騎士たちは小休憩を取ったらしく地面に座り込んでいる。
読んで御覧なさい、とアーリィに促され、エディは地面に掘られた文字を指でなぞりながら読む。
「『 ラディウス 』と『 レイティンストルヴィル 』・・・?」
読み終えたエディは慌てて自分の両手を眺めるが、そこには光の玉など現れていず、首を傾げた。
「光が強い中で光を使っても見えないのよ。ほらほらこっちを読んでみなさい」
げんなりしているエディに、新たに地面にかいた文字を読むように促すアーリィ。
エディは期待しつつその文字をなぞって口を開く。
「『 ミッドアンブラー 』『 キャットアイ 』」
次の瞬間、照らされたような光景がスイッチを消した様にぱっと光を失った。目の前が真っ暗になったが、エディにはモノクロの光景が見渡せる。
「これが『 ミッドアンブラー 』光をかき消す呪詛。『 キャットアイ 』を唱えればこの中でもあたりが見渡せるのよ」「おい、次はなんだよ」「完全に前が見えないんです—がッ!?」
よろよろと手を前に突き出して立ち上がるシフォンがゼルフの剣に躓いて転び、恨めしそうに額を押さえている光景が見える。
一方でゼルフは眉ひとつ動かさず、重そうに剣を身体に引き寄せて座っている。
エディはさっと手を振りながら『 レイティンストルヴィル 』を唱え、暗闇をなぎ払った。
急に明るくなり目を押さえ込むと、アーリィの声が聞こえた。
「帝国には魔術師って2人しかいないんだけど、アンタをカウントすると三人ってわけね!」
エディは魔術師(炎)
ルークは魔導師(雷)
呪詛まとめ書く予定が、ちょっと文字数の都合でry