複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照2500ありがとう御座います! ( No.304 )
日時: 2013/09/16 19:00
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: oPz3AGB4)

032 ミカイロウィッチ帝国ルート


樹海の海沿いまでやってくると、一艘の船が波に揺れて停泊していた。
ナポレオン帽をかぶった船長が乗組員に出航の準備を促しながら、盗賊団+騎士に怒鳴るように声をかける。
「おう、戻ってきたか。さぁ乗れ!出航だ!」
帆を張れ、錨を上げろ、風を読め—てきぱきと下される船長の支持にすばやく動き回る乗組員のおかげで、船は間もなく出航した。
ぐらぐらとゆれる船の上で座り込んだ盗賊団+騎士は、一人ひとり様々な行動を取っていた。
眠るものも居れば酔わないように上空を眺めるもの、乗組員に食料をねだるもの・・・エディはそのうちの上空を眺めるものであり、海鳥の数を数えていた。
 出航から二時間ほど経った昼下がり、乗組員がイルカを発見したらしく、起きている者達が立ち上がって海を見る。
釣られて立ち上がったエディは、急に太ももに痛みを感じて座り込んだ。果物ナイフ少年に思い切り刺された傷が開いたらしく、折角巻いてあった包帯が水気を帯びてきてしまった。
航海はあと三時間ほど続くため、的確な治療はお預けである。
「あれ、そういえば・・・確か魔術には癒し属性ってなかったっけ・・・?」
「あるわよ、土属性のやつね」
そうつぶやいた途端、イルカを眺めていたアーリィが振り返り、エディの元によってくる。
揺れる甲板の上をたどたどしい足取りでやってきたアーリィは、エディの期待する目を見て腕を組んだ。
「実はアタシ、土属性が使えないのよ。呪詛も全部、土属性に関するものは読めなくなっちゃったの」
「何でですか?癒し属性って結構重要な呪詛だと思うんですけど」
回復系魔法は魔術が使えても使えなくてものどから手が出るほど便利なものだ。痛みが一瞬で治るのなら、どんな無茶だって出来る。
どうしてそんなものが使えないのか、とたずねれば、アーリィはちょっとね、と昔を思い出すように微笑んだ。