複雑・ファジー小説

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照2500ありがとう御座います! ( No.314 )
日時: 2013/09/18 22:18
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: 7fbL/SBO)

035 ミカイロウィッチ帝国ルート


「—って感じで、フランチェスカ王女の魔力はアーリィ・メルキオーゼよりも勝ってましたよ、どうすんですか帝王?」
ふむ、と帝王は空色の目を細め、うなる。
王女と魔女の対決の結果が予想外だったらしく、帝王は顎を撫でて黙り込む。
その様子に追い討ちをかけるように、ヴィトリアルは腕を組んだまま続ける。
「このままじゃ王女をとっつかまえて捕虜にするなんて事出来ませんよ?」
帝国が王国に密偵を送り、その内情を探らせたのにはわけがあった。最終的な目標はもちろんカメルリング王国を壊滅させること。そのために帝国は王国の王女をさらい、捕虜にして王国に戦意喪失をさせようと狙っていた。
抵抗すれば王女の命はないと脅せば王国はひるむだろう。たとえひるみが一瞬だったとしても、それは有利な一手となる。
国王はむぅと唸ってあごひげを撫でながらつぶやく。ナイフで刻まれたように濃いシワのある堀の深い顔は、口授の決断を迫られたというようにゆがみきっている。
「ならば精神攻撃で王女を弱らせるしか無いが・・・王国に幻術師の存在を知られるのは段階的にまだ早い—」
「—それなら心配要りません!」
ばがんッと玉座の間の扉が強く開かれて、盗賊・帝王・皇女の視線は扉へと向かう。
そこには話題に上った兄妹、イヴとクウヤがおり、クウヤが再び口を開く。普段飄々としているくせに、今回はにこりともしない。
「何も、心配ありません・・・」
「無礼なやつめ、何が心配ないというのだ?」
帝王が唸るようにたずねると、うつむいたまま兄の背中に隠れていたイヴが顔を上げた。
「帝王様、私たちと同じ幻術師があと二人いたことをご存知ですよね?お師匠様と、兄弟子が一人います。・・・彼らを探すために私たちは帝国に尽力してきました」
そうだったな、と帝王があいまいに相槌を打つ。
帝国と王国の大戦が終戦してから一ヵ月後、特殊な幻術師が三人の弟子を連れて帝国から逃亡した。
その三ヵ月後、幻術師の弟子が急に帝国に舞い戻った。師匠と弟子仲間が消えてしまい、その行方を捜してくれるなら帝国のために尽力すると、そういって戻ってきたのがこの幻術師兄妹だった。
だが帝王は二人が度何手を汚そうが、その師匠と弟子仲間を探す努力はしなかった。
「そしてやっと見つけたんです。王国にいるという情報を手に入れました」
「なんだと?では、王国も星の幻術を扱うものがいるのか?」
イヴの言葉に帝王は玉座から立ち上がり、鬼のような形相で二人に怒鳴りつける。
「こんな事ならちゃんと探しとけばよかったのに」と小さな声でシェリルがつぶやくが、帝王の荒い息でかき消された。
秘密兵器として隠してきた武器を相手も持っていたという事実を知って憤る帝王に、クウヤが詰め寄って叫んだ。
「だから、王女をさらう作戦のときに、俺達を使ってください!そのときに、王女と一緒に彼らもさらってきます、必ず!」
しんと静まり返った玉座の間で、うっすらとシェリルが微笑を浮かべた。





イヴちゃんとシスコン兄の行動は・・・・・・