複雑・ファジー小説
- さぁ 正義はどっち ? 参照4200ありがとう御座います! ( No.375 )
- 日時: 2014/12/14 00:39
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: mJFNTt4F)
042 ミカイロウィッチ帝国ルート
「リン、いない…」
昼間の日差しを受けて光輝く宮殿内では、一人の少女が必死に走り回っていた。
宮殿の中腹は展望廊下になっており、硬質のガラスで球場に覆われたその廊下は光をさんさんと浴びて、ぽかぽかと温かい。目をやれば、この宮殿を崇めるように立ち並ぶ貴族邸や家々の屋根が見え、穏やかにうねる青い海が見える。
普段ならなんてきれいなんだろうとため息をこぼすところだが、それどころではないエディは目もくれずに走り出す。
リンがいたはずなのに、どこにもいないなんておかしい。ゼルフがリンを連れてきてからもう三日たつのに、リンの行方は知れぬままだ。
一度エディも拉致された直後連れて行かれた拷問部屋に行ってみたのだが、リンはそこに居ず、それどころか盗賊団員の姿さえ消えていた。そして三日たつその間に、盗賊団員の誰にも会うことはなかった。
「みんなどこ行っちゃったの…?」
リンが消えたことと盗賊団の疾走は絶対に関係があるだろう。シェリル皇女には面会を断られ、ゼルフもあれから姿を見ない。
実家に飛びかえってリンの安否を尋ねたいが、一人では宮殿の外には出れない。シェリル皇女のいいつけで、エディは拉致された日から行動の一挙手一投足を盗賊団の監視下に置かれていた。
とれる選択肢がもうなく、踏んだり蹴ったりなエディは、一人で大人しくしていることもできず、情報を求めて息を切らしながら奔走していた。
エディが走り回る中、ゼルフは半壊した皇女の部屋でミレアの手伝いをしていた。盗賊団長の手下だが、個人で皇女に面会出来るほどの力のないエディとは変わり、黒騎士という実力のあるゼルフはあの日すぐ、リンの行方を皇女に詰問していた。
「あのメイドさんなら無事よ、傷つけてないわ」
ゼルフの不機嫌そうな顔に、笑みを浮かべたシェリルはからかうように微笑む。
「エディを助けたいんですって。おもしろいじゃない?」
玉座から放られるその微笑みに、ゼルフは低い声で尋ねる。
「リンをどうする気なのです?」
「あらあなた、恋人と同僚になるのは嫌なのかしら。ちょうどいい手駒よ、私の計画に花を挿してくれるいい手駒。エディもメイドさんも、逃がしたりしないわ」
そうつぶやくと、彼女は愛らしい顔に凶悪な笑みを浮かべた。
その時のことを思い出して、ゼルフは顔をしかめる。しかしそれがミレアにはこんな面倒くさいことに参加させやがって…という風にとらえられたらしく、そんな面倒くさがんないの!と声を掛けられる。
「皇女様の直々の使命なんだから…あとでちゃんと酒場でおごってあげるからむくれてないでしっかりやんなさいって!」
ばしっと肩を叩かれ、ゼルフはつんのめりそうになり、慌ててバランスをとる。ミレアは男より小柄だが、その身体には結構な力が備わっており、こう不意打ちを食らうとゼルフでも簡単によろけてしまう。
彼女のたゆまぬ鍛錬の成果であろう。
「まぁ、面倒くさくなる気持ちはわかるんだけど…」
ミレアは片手で緑色の長い髪をかき上げて手で軽くすくと、腰に手を当ててまだ片付かない部屋の惨事にあきれたように目を回す。
そしてため息をつくと、気持ちを切り替えたように明るく言い放つ。
「ま、頑張りましょ!」
そんなミレアを眺めて、この健気で威勢の良い彼女にリンをふとだぶらせたゼルフは、今頃敵地に送り込まれたリンの事を思う。
リンならたぶん大丈夫だろう。けれど、やっぱり恋人としては、守ってやれないことが少し心残りだった。
エディは一応団長の手下ですが、一人では宮殿の外には出れないし、一人で皇女に会う権利もない設定です。
なので結構盗賊団の誰かと行動してる率が多いので、一人になると行動の選択肢が激減するのでちょっとパニックおこします。
ゼルフさんは暇なときはリンさんに会いに行くか、ミレアさんその他と飲みに行ってたりするイメージがありますwただ、剣の鍛錬>リン>飲み、みたいな
最後になりましたが参照 4200ありがとうございます!