複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照5000ありがとう御座います! ( No.428 )
- 日時: 2015/02/04 18:26
- 名前: メルマーク ◆gsQ8vPKfcQ (ID: kphB4geJ)
カメルリング王国ルート 053
赤い足跡のように続く血痕は途切れることなく続いていた。そのおかげでルークは彼らを見失わずに済みそうだった。
血の痕を見る限り、怪我をした人物は結構な重症なのかもしれない。怪我をした場所を走りながらといえど押さえつけているはずなのに血の痕が途切れなさすぎる。
やがてその赤い目印が、長い廊下にあるひとつの部屋の奥へと扉を挟んで続いていくのがわかると、ルークは深呼吸して扉を思い切り開けた。
「っ!」
そこはよくある物置のひとつで、絨毯のないむき出しの床に使われなくなった長椅子や、飽きたのだろうか床に放り出される大量の絵画や彫刻品がさびしそうに立ち並んでいる。
その物置の床に、一面赤黒い血の海が広がっており、ルークはへなへなと床に座り込む。
今敵が襲い掛かってきたら確実にしとめられてしまっただろうが、幸いここには誰もいないらしかった。
足の力が抜けてけてへたり込んだルークは、そんな自分にも驚いていた。あれだけ誰かを守るためとはいえ、敵には容赦なくこのナイフでさせるといっておき実際に一人の少女を刺しさえしたのに、この血の海をみてこんなに腰が抜けるものなのか。
血の海に気をとられていたが、良く部屋を見渡せば血を踏んづけてあわただしく走り回った靴のあとがかすれるように部屋を横切っていた。
その靴の後を追うと、破り取られた古いカーテンが風に揺れている。血にぬれた指で布を思い切り引き裂いたのだろう、その布で傷口を縛って応急処置したのかもしれない。
もう一度血の海へ目を戻せば、彫刻品の奥へと何かが転がっているのが見えた。
手を伸ばすのは気がひけるが、廊下の明かりだけが頼りなため、光の下まで引っ張らなければそれが何か良くわからない。
力の入らない腕を伸ばして、それに触れると木材のようなものだった。
引っ張り出すと、血をすって赤黒く染まっている尖った木片だった。
この部屋に割れるような木製のものがないため、おそらくあの二人組みが電気を通しやすい剣の類の代わりに使用していた木材だろう。
放電の爆発に巻き込まれたときに、その衝撃の中であやまって体に突き刺さったのかもしれない。
それを引き抜いてコレだけの血の海ができたとなると、相当な重症なのかもしれない・・・。
しかし廊下にはそれ以上血の痕は残っておらず、この部屋から出て行ったという痕跡は残されていない。
「もしかして、まだいるのか・・・?」
木材の破片を床に転がし、ルークは息を呑んで薄暗い部屋の中を見回す。
しかし、額に浮く冷や汗を覚ますように吹き込まれる穏やかな風により、ルークは肩を落として緊張を解いた。
風に揺れるカーテンをめくれば、窓は開いていて、窓枠にはこすれるように血が付着していた。
魔道書が一冊行方異不明な上、重症なもののあの二人組みはカメルリング城の外へと逃げたらしい。
けれど、今夜は晩餐会で城の周りには押し寄せる人々とそれを押しとどめる騎士達がいる。
血まみれで目立つのならうまく逃げ切れるわけがないし、今頃あの使用人が帝国の手先の侵入を知らせて回ってくれているだろう。
とにかく追わなければ、とルークもまだ震える足に力を入れて、窓枠から身を乗り出した。
こんばんはコッコさん!
修羅場になってますがまだこんなもんじゃあありませんっ←
コメントありがとう御座います!