複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照5100ありがとう御座います! ( No.430 )
- 日時: 2015/02/04 18:57
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)
カメルリング王国ルート 055
城の外へと通じる窓は、一階とはいえかなりの高さにあり、ルークは危うく墜落しかけた。あわてて窓枠にしがみつき、息を弾ませながら身体を伸ばして飛び降りる。
しりもちをついて着地したが、足の骨を折らずにすんだだけましだ。
呼吸を整える間、辺りを見回してここがどこだかを探る。カメルリング城は城を包み込むように外壁を築いているため目印となるものは見つけにくい。
しかし塀を乗り越える以外にある正統な出口、観客が押し寄せる長いスロープの入城口からはそう遠くないことがわかると、急いで駆けつける。
傷の手当が上手らしく、もう一切血の痕が残っていないため、急がなければ見失ってしまう。
しかし血まみれなのだから、見つかれば誰かが悲鳴を上げるはずだ。
そうこうする内に、その足は入城門へとたどりつく。観客の歓声は激しく、騎士達も苦労しているようだ。
激しい熱気の一番外側にいる騎士に声をかけると、驚いたことにつまみ出されそうになった。
「どうやって入ったんだ?!ここは王城だぞ!一般人は侵入するな!」
開口一番に怒鳴りつけられ、守衛用の隠し扉から外へ放り出されかけたとき、「ルークしゃないか」と声をかけられて助かった。
「ノイアー!」
「おい、そいつは魔導剣士だぞ!一般人じゃないっ」
ノイアーが騎士に食って掛かってくれたおかげで、ルークは放り出されずに済んだ。
「今日はこんなんだから、お前も狩り出されたのか。わたしも折角の休日を潰された!お前らのせいだぞっ」彼女は腰に手を当てて門の外にいる暴徒に怒鳴りつける。
つかまれた腕を痛そうにさすりながら礼を言ったルークは、首を振る。
「ノイアー、血まみれの人、見てない?」
「血まみれの?」憤慨していたノイアーだったが目を丸くしてルークの方へ目を向ける。ルークから目を離さずに髪を揺らすように首を振ったノイアーは興味深そうにルークに詰め寄る。
「みてない。喧嘩か?」
「おかしいな・・・そんなはずは無いのに・・・」
詳しく聞かせろ!と袖を引っつかみノイアーにせがまれ、それが、と口を開いた瞬間、耳を劈くような爆発音がとどろき、ルークは飛び上がった。
「なんだ?!」
続けざまに爆発音が響き、空が赤くきらめく。一瞬ざわめきが小さくなったが、すぐに人々が歓声を上げ始めた。
「何?」
ビックリして唖然と花火を見上げるルークに、ノイアーがうんざりしたように腕を組んで言う。
「芸人が、晩餐会に出れない一般人にも楽しんでもらおうとして打ち上げたらしい。さっきもあった。黄色だったけどな」
唸るように言うノイアーの言葉に、先ほどの爆発音の正体は花火だったのか、と一人納得するルーク。あれのおかげで攻撃のチャンスが産まれたのか。
「そのせいで見物客がこんな騒いで、私の休暇が消えた!」
再び憤慨するようにわめくノイアーの声を遠くに、空を赤く染め上げる花火の色にどこと無く先ほどの血の海を連想させて、ルークはのどを鳴らした。
書き溜めストック終了・・・
参照5100ありがとうございます!!