複雑・ファジー小説

さぁ 正義はどっち ? 参照5400ありがとう御座います! ( No.449 )
日時: 2015/02/13 21:31
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

カメルリング王国ルート 060


 やってきた騎士たちの後ろでは、ルークとシランとカルマがおり不安げな顔をしていた。
その一行を部屋の外で待機させ、王族たちに一礼してから部屋を出たラルスはいったい何の用件でどんな厄介ごとだ?と腰に手を当てて尋ねる。
これ以上問題ごとが増えるのは厄介だが、かといって放っておいたら更にこんがらがってしまう。
話の柱を握っているのはシランとカルマとルークらしかったため、集う騎士たちを捜索に向かわせ、ラルスは腕組みを解いて口火を切ったルークに目を合わせた。
「侵入者がさらに二人いることがわかりました。今回の侵入者はすべて帝国の差し金です」
さっそくとんでもない情報がもたらされて、ラルスは大きな手のひらで顔を覆った。

全て聞き終わった後、ラルスはシランの肩を励ますように叩いてやり、シランは暗い表情で少し頭を下げた。
「幻術師が王城に侵入しているとなると、やっかいだな」騎士を呼び寄せて新情報を捜索に当たる全員に拡散させるよう命令したあと、ラルスは困ったようにうなる。
「現に一人幻術にやられてるからな…もしかしたら幻術を利用して脱出している可能性もある」
険しい顔でラルスが言えば、自分自身が怒られているように感じてかシランが肩身の狭そうな表情をして、足元を見る。
けれど意を決してか、か細い声で首を振って進言する。
「僕らの使える幻術は、戦闘向きだからそういう応用は出来ないと思います。ただ、幻術に掛かった人なら、もっと沢山いるかもしれませんけど…」
とにかく、とラルスは三人に幻術による被害者の捜索を命じ、困った表情のまま王族を守るべく晩餐会会場へと戻った。


 王国の各所に設置されている時計により、現在の時刻は日付をまたぎ午前幾何を差している。
体を酷使して走り回り、敵との戦闘で精神的にも肉体的にも疲労し、瞼が下がりつつあるルークは、だがのろのろと動きながら廊下をゆっくり歩く。
その左右にカルマとシランがおり、二人とも無言のままだ。
窓の外へ眼をやれば、眠たい目をしながら捜索に走る騎士たちや兵士が見え、メイドや使用人たちは疲労した彼らへの夜食などを作るのに忙しく働いている。
これだけ探し回っても見つからないとは一体どういうことだ?余人の侵入者の内少なくとも一人は出血多量で敏捷に動けないというのに。
更に言えば、この王国を真正面から出ようなどとすれば高い鉄格子の門を突破しなければならないし、周囲には観客がとりまいていた。
目撃者がいるわけでもなく、まだ城に潜んでいるにしては見つからなさすぎる。
城を覆う高い城壁を上るとしても、手段がない。あったとしても市民の誰かが気付くのでは…?
 「ここは使用人用の寄宿部屋だね」
ふとカルマが立ち止り、無遠慮に扉を開ける。彼女の言ったとおりそこは使用人用の部屋らしかった。
比較的広いが、窓が少なく眺めの悪い部屋だ。ただ二段ベッドの数は多く、部屋には他の部屋のように豪華な装飾のされた豊富な家具はない。
現在は使用者は居無いようで、掃除も手が空いたらやるというような放置ぶりで少し埃っぽい。
けれどカルマはその部屋を眺めまわし、目を輝かせている。
そして振り返ると、意見を聞くようにルークを眺める。
「この部屋を新しい研究室にしようと思うがどう思う?」
どう思うって、と開け放たれた部屋のなかをのぞきくルークに、ベッドもたくさんあるし、窓が少ないじゃないか、と最良物権であることをアピールする。
「でもちょっと埃っぽいよ」というルークを黙らせ、カルマはつかつかと部屋の中へ進み、部屋の中央に置かれる長テーブルへ放置されているカンテラの明かりをともす。
そしていろいろと物色しまくった後、重々しいカーテンを見つけ、すぐに小さな窓を厳重に閉ざした。
ほこりが舞うが、カルマは満足そうに鼻を鳴らす。
「決めたよ。ここを新しい研究室にする。私は魔導書を移す作業を優先するから、幻術にかかった患者の捜索からは離脱させてもらう」
言って、少し不安げな顔をした。
「いくら見張りの騎士が付いているからと言って、魔導書から目を話すのは不安だからね…」
ルークの合意のもと、カルマは捜索から離脱し去って行った。
白くカールした髪が躍る背中を見送れば、ルークとシランは捜索を再開した。


こんばんはコッコさん!
ヨメナイヤツ戦はいろいろとすごいことになりそうですw
無事彼らが逃げ切れるか楽しみにしていてくださいっ

 気付いたら目次のルートカウントがすごいことに…
最後になりましたが、参照5400ありがとうございます!