複雑・ファジー小説

さぁ 正義はどっち ? 参照5500ありがとう御座います! ( No.451 )
日時: 2015/02/26 16:52
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

ミカイロウィッチ帝国ルート 057



 光の柱とは、普通その神々しい見た目からたとえ迫ってきたとしても攻撃性を全く感じないだろう。
それどころか、敬虔な聖職者でなくとも神様か何かのお告げか何かと勘違いするほど人の闘争心を奪ってしまう。
けれど、その光の柱が化け物の口から放たれたときは別だ。
「『シールド』!」
その光線にいち早く反応し、アーリィがピンクの杖を頭上に掲げ呪詛を唱える。
盗賊たちを包み込むように発生したシールドの表面を、激しい光と衝撃が殴りつけるようにぶち当たり、シールドの周囲に残る木々を消し炭にしていく。
「どでかいうえに魔術も使う化け物ってわけね!」
見たこともない光系の破壊攻撃にアーリィはむっとしながらシールド越しに化けものを睨む。
光の柱はシールドを丸ごと残したまま、光の通過した直線上の木々をきれいに一掃し、焼け野原のようにして消えた。
綺麗に木々を消し去った張本人、化け物は意外な反撃に目を怒らせているようで怒った猫のように尾を振り回している。
ふん、と鼻を鳴らしてアーリィはシールドを解除し、仲間たちに視線を落とした。
それに反応するように、口をぽかんと開けたまま消し炭になった黒い樹海からアーリィへと彼らが視線を集中させる。
さっぱりお手上げで何が起こったのかよくわからないというような表情に、杖で化け物の方を差しながら言う。
「アタシがあの化け物を倒すわ」
ちょっと買い物行ってくる、みたいな軽い言い方で言ってのけたアーリィに、盗賊団たちは目をまん丸くするも化け物が咆哮を上げて迫ってきたため後ずさりする。
それに対し、アーリィはまだ話し中よ!と文句を言いながら炎系の呪詛をつぶやいて化け物を遠距離から魔法攻撃しその動きを止めた。
「アタシが戦ってる間に船の野営地に行って、リンを早く手当しなさいよ。王女にもここで死なれたら困るしね」
言って視線を目を閉じてほほ笑んでいる王女とぐったりしている担架のリンに向ける。
「まぁ魔術関連はお前なら大丈夫だとは思う」ヴィトリアルが化け物とアーリィを交互に見ながら呟く。「ただ、物理攻撃で楽に殺されそうだけどな」
化け物とアーリィの体の大きさの比からして、化け物一歩分でアーリィ20歩分ほどの差がある。
攻撃してもひるまなかった場合、踏みつぶされてあっけなく殺されてしまう可能性もある。
「足になりそうで、さらに魔術の兄弟分の力を持ってる二人のどちらかに残ってもらえばあんな化け物すぐ倒せるわよ」
会話の合間に化け物を遠距離攻撃しながらアーリィがイヴとクウヤに目をやる。
「残ってもらうわよ、どちらかにはね」

 一瞬ひるんだように目をまん丸くした二人は、顔を見合わせすぐ口を開く。
「私が残る…!」「俺がやるからイヴだけは!」
兄さんは担架を早く運んで!俺の方が使える幻術の数は多い!などと半ば喧嘩のように言い合うが、兄であるクウヤの方が断固として譲らなかった。
最終的に、王女に幻術を掛けたイヴが意識を失った場合、幻術が解け一時的に王女が覚醒して暴れる危険があるからという理由で、クウヤがアーリィと共に残ることになった。
「兄さん、気を付けてね」というイヴの言葉に頷いて、担架の端を握りしめて樹海の中へ進む妹の姿を別れを惜しむように眺めていると、
「クウヤこれ」別れ際化け物を眺めながらツヴァイが白衣のポケットからゴム製の線をしたガラス瓶のようなものを取り出してクウヤに手渡す。
「なにこれ?」
怪訝な顔をして尋ねると、得意げに微笑まれる。
「絶対に液体に触っちゃだめだからね。もし危なくなったら、これをあの化け物にぶちまければいいよ。もしくは剣に着けて攻撃すれば効き目は大きいかもね」
絶対触っちゃダメって何?と慌てて小瓶をつまむようにして顔から離して尋ねると、ツヴァイは疲れた足を引きずりながら振り返りざまに言う。
「液体の名前はね、君に言っても分からないと思うんだけど…」などと生意気そうにつぶやいた後、「触ったら君の皮膚なんかはすぐ溶けるんだよ。だから気を付けてね」
せめて誤って触った場合の応急処置法も言い残して行けよ!と気味悪そうにガラスの小瓶を傾けて眺めたクウヤだったが、すでに魔術を使用して化け物と対峙しているアーリィに目をやり、小瓶を片手に彼女のもとへと参戦した。



やっと‥‥!
やっと更新できるように…!
10日も放置プレイしてすみませんっ
しかも参照が5500超えてたありがとうございます!