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００１　カメルリング王国ルート


とある中世ヨーロッパ、そこには二つの大きな国があった。
ひとつは王様の治めるカメルリング、もうひとつは帝王の治めるミカイロウィッチ。
この王国と帝国は領国の中間にある珍しい鉱山の所有権争いによりひどく嫌いあい、すでに何度か戦争をしていた。
両国がにらみ合う今、現在は実質上戦争のない冷戦となっている。

「はぁー、やっとここまできた」
真夜中、辺りが闇に包まれ星が美しく輝きだした頃、一人の少年が小高い丘の上でほっとため息をついた。
少年の名はルーク・ブランドリス。
星の光を浴び濡れたように光る灰髪と、黒い瞳の彼は、右手に構えていた果物ナイフをゆっくりベルトに差し込む。
ありきたりの薄い生地の放牧衣装に軽装備の彼は、星の美しいこの丘より見えるとある王国を目指していた。
「カメルリング王国にはあと一キロもすればつくかな。さすがに食料も尽きたし、急がないと」
ぐぅぐぅ鳴る腹の虫は、携帯食料じゃ物足りないと悲鳴を上げており、現在進行形で背中とお腹がくっつきそうな勢いで空腹度が上昇中だ。
星が美しいこの丘は、星に興味ある人々から星の庭園と呼ばれるほどのものだが、星を見ても腹が膨れるわけじゃない。
ルークは早々に丘を離れ、残りの道を歩いていった。