複雑・ファジー小説
- さぁ 正義はどっち ? 参照13200ありがとう御座います! ( No.578 )
- 日時: 2016/08/16 17:11
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: KzMBmi6F)
カメルリング王国ルート 089
「国王様!お着きになられましたか!」
カメルリング国王は差しのべられた手を取ると、船から一歩、敵地へと踏み出した。
とても狭い足場だが、敵地でやっと確保した安全地帯だ。文句は言えまい。
周囲を見渡すと、あちらこちら血が目に入る。今のところ、奇襲をかけたカメルリング勢が有利に立っているらしいと、転がる兵士たちからそう推測する。
「負傷者もいます。魔導部隊たちや軍医は…」
ラルスの問いに、国王は海を軽く顎で示した。
「あの船だ。彼らには安全地帯を確保してから上陸してほしかったからな。何—」懐から懐中時計を取り出してちらりと眺め、「十分もせんうちにこちらへ来る」
国王の告げた通り、魔導舞台と軍医、最後の荷具などを乗せた船が既に停泊していた船に横付けして到着した。船に板を渡して一つ一つ船を渡って来た彼らは、ラルスと国王が一緒なのを見て安心したように息を吐いた。
「ただいま到着いたしました」魔導部隊団長のユニートがぺこりと頭を下げると、国王はよい、と手を振って止めさせた。
「負傷者がいる。急を要する重傷者を魔導部隊が処置し、後は軍医に任せよ。そして、魔導部隊の面々は帝国の魔女と戦う事を優先とする」
帝国の魔女と聞いただけで、魔導部隊の顔色がさっと変わった。たしかに、帝国の魔女は単純に魔力の量ならばフランチェスカには劣ったが、戦闘力に関してはこの付近の国で随一だろう。しかし何も倒して来いというわけではない。
「魔女とはいえ、奴も帝王ではない。あくまでも、帝王を殺すまでの間、邪魔が入らぬように足止めをしていてもらいたいのだ」
「…帝王を殺す——まさか国王様!」
さらりと告げたつもりが、びっくりしたようにラルスとユニートが同時に声を上げるので煙たそうに眉根を寄せる。
「いけません!国王様の首がとられたら…その、王国の負けです…!」
「国の主がここで立たなくてどうする!」
王の鋭い視線に目を泳がせながらつぶやくユニートに、ラルスが真剣に国王に詰め寄る。
ユニートの言う通り、ここで国王が死なれでもしたら、王国は負けである。ここで一時ひいたとしても、国王の死で士気は格段に低下するだろう。キール王子も、フランチェスカ王女と同様に一応は平和主義者なのだ。さすがに父と妹を殺されでもしたら、戦いに走るだろうが、その方がかえって冷静な判断を失っている分危険だ。
ここは何とか国王をなだめて、安全地帯からいつもの様に指示を飛ばしてくれるだけでよい。
「国王様、僭越ながら国王様がおられるだけで、我々の士気は確実に高まりました。しかし国王様が戦いにまで参加なされると、騎士達も国王様に遠して戦いに集中できなくなります」
そんなことを今更気にすることはないのだ、と国王が苛ただしげに腰から剣を抜いて戦いに参加しようとするため、ラルスは怒りを買うのを覚悟にその前へ飛び出した。
「貴様」なんのつもりだ、と国王がラルスの顔をまじまじと見た。しわの多いその顔に、今ははっきりと怒りが表れている。
国王の奥で魔導軍団たちが心配そうな表情でこちらを見ているのが目に入る。特に、一時は弟子のつもりで剣を教えたルークが、心底青ざめた顔で事の成り行きを見つめている。
「失礼ながら、国王様。ご無礼を承知で申しあげます」
切りかかられても応戦できる騎士だからこそできる口出しである。「国王様には我々と共に戦う戦力ではなく…どうか、我々が敵を倒すための餌となっていただきたいのです…!」
こんばんは!コッコさん!
ミルフィーユさんの武器1が登場しましたが、まだまだこれからです!
黒騎士もさすがに科学力の前ではry
コメントありがとうございます!!!!