複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ?【第2回オリキャラ募集】 ( No.66 )
- 日時: 2013/08/03 12:55
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: TM72TTmK)
006 カメルリング王国ルート
「今紅茶を持ってまいります」
大きな館内の一室に通されて、ルークは恐縮していた。生まれてこの方、こんな広い家に入ったことがない。
豪華な部屋の円形のテーブル前に腰掛けて、恐る恐る辺りをうかがう。
(なんだこの部屋・・・僕の家よりも広いし・・・それがあとなん部屋あるんだ?)
ごくりとつばを飲み、なんだかとんでもないことになってしまったなぁと縮こまった。
ルークと向かい合わせで座っていたミルフィーユが、指を組み合わせてテーブルに身を乗り出した。
「さてさて、ポーン君・・・だったかな?」「ルークです」
あぁそうだった、とミルフィーユが笑い、チェスの駒の名前だからこんがらがっちゃうね、と頭をかいた。
ポーンはチェスの駒の、歩兵。ひたすら突き進む兵隊に対して、ルークは城だ。砦と言ったほうが正しいが、ポーンより格は上なので間違えられるとちょっとむっとする。
「もう夜中だけどね、一応少しだけ説明したいことがあるんだ。それが終わったら君の部屋に案内するから」
「え、僕の部屋?」むっとしていたルークは目を真ん丸くしてミルフィーユを見上げた。
「一応部屋は与えるけど、何処で寝ても構わないよ。私なんて毎晩寝る部屋が違うからね。庭で寝てたこともあるし、階段で寝ていたこともあったかな、いつも発明の途中で意識が途切れるんだ」
言いながらはっはっはと笑うミルフィーユ。ルークはあっけにとられて沈黙した。
「お待たせいたしました」
しばらくするとティーカップがいくつか乗った盆を持ちながら、少年執事がやってきた。
茶髪のこの少年はふわふわした印象で、生粋の癒し系である。
彼はルークとミルフィーユの前にそれぞれ紅茶を置くと、砂糖壺やミルク壺などを置き、それから盆を抱えると、ミルフィーユの真横に待機した。
幼い風貌なのに、行動がいかにも執事っぽい。
「彼は私の執事だよ、マスコット秘書だね!ほら、ラグ、ルーク君に自己紹介しなさい」ルークが注目していると、ミルフィーユが紅茶を手に取りながらいう。
主人の許しが出て、ラグと呼ばれた執事はちょっと照れながらお盆を抱えながら自己紹介をした。
「ランス・アームストロングです、ラグとお呼びくださいルーク様」
「?!」様付けで呼ばれてビックリしているルークを置いて、ラグは先を続ける。
「僕は発明品に必要な素材などを用意することが出来るので、いつでもお申しください!夜食などもすぐに用意いたします!雑用は何から何まですべて出来ますので御用のときは名前をお呼びください!」
にっこり笑ったラグに、ルークは目を真ん丸くしながら頷くことしかできなかった。