複雑・ファジー小説
- Re: さぁ 正義はどっち ?【第2回オリキャラ募集】 ( No.81 )
- 日時: 2013/08/04 13:28
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: TM72TTmK)
006 ミカイロウィッチ帝国ルート
「毎回言ってるかも知れませんけど・・・皇女様の開く舞踏会って豪華ですよね」
宮殿に着き、宮殿内に案内されると、入り口からすでにわかっていたが今回もまた類に無いほどの華やかさでいっぱいだった。
広いホールがいくつものテーブルで埋められ、飾れるところはすべて飾った様子だ。そして丸テーブルにぐるりと囲まれた中に、人々が踊れるように何も無い空間が広がっている。
真っ赤な玉座には今は誰も座っていないが、舞踏会が始まればすぐ、この舞踏会の催し人、シェリル皇女がやってくるはずである。
「あぁ、今から憂鬱になってきたわ・・・気取った偏屈な奴らと無理に笑ってワルツ踊るとか、あぁ、耐えられない」
エディは舞踏会が開始もしていないのに腕をぐっと組んで、すでに帰りたいオーラを放出している。
リンがまぁまぁ、と優しくなだめるが、エディの機嫌は直らないまま、ついに舞踏会の始まる時刻を迎えた。
宮殿街の大きな時計塔が重苦しい鐘の音を放ち、頭上のシャンデリアがかすかに揺れる。
時計塔の鐘の音が鳴り止んだところで、音楽部隊が盛大に楽器を鳴らした。
皇女を迎えるためのファンファーレが鳴り響くと、招待された者達はすぐに跪いた。男女身分関係無く、跪かなければならないため、エディもしぶしぶ膝を折った。
慕いもしない皇女に跪くのは少しイヤだったが、命令に背けば爵位を奪われるどころではない。
爵位剥奪よりも痛い、皇女様じきじきのお仕置きが下るのだ。
「顔をお挙げなさい、ようこそ宮殿の舞踏会へ。存分に楽しんでいったらいいわ」
かわいらしい声が響き、シェリル皇女がやってきたことがわかる。
言われた通り人々が顔を上げると、真っ赤な玉座に人形のような小さなシルエットが堂々と人を見下すように座っていた。
金髪の、ふんわりした肩までの髪に覆われた頭のてっぺんに、大きなリボン。そしてその小さな手が持つ、金色の美しい装飾が施された凶悪なムチが、彼女のトレードマークだ。
その右手が動いて、ムチが空を切って彼女の足元を叩く。
シュパンと強烈な音が響き渡り、その場に居合わせた誰もがびくりと肩を揺らす。
だが誰かに対して怒ったわけではなく、彼女の「さぁ、舞踏会が始まるわよ!」の合図だったらしい。
その音の直後、動揺を隠したオーケストラによる、優雅な音楽が流れ出す。
にっこり笑った皇女の前で、人々はゆっくり踊るもの、食事を食べるもの、会話するもの、と分かれていった。