複雑・ファジー小説

2-2 ( No.11 )
日時: 2013/08/11 10:23
名前: 石焼いも ◆ns5PzeHZB. (ID: hPHSBn6i)

俺はただ呆然としていると、赤髪の少年は細い目をまん丸に見開いて俺を見つめた。
「……もしかして、オレが言うまで気づかなかった系?」
図星だったために何も言わず硬直していると、少年の口元が段々緩んできた。目も下に垂れ下がっている。確実に、こいつは俺を馬鹿にしている。うるさい。そんな簡単に状況を飲み込める訳ねえだろ。
「っひゃァアアー!! なに? コミュ障な上にニブチンなの? ダッセェー! オマエ、ダサいの最先端駆け抜けてるよ! バーニング・ダセェ!!」
バーニング・ダセェとはなんだこのスカタン。
初対面の癖に失礼なチンピラもどきだ。俺は即座にこいつには容赦しなくてもいいと判断した。どひゃひゃと下品な笑い声を上げる奴にすかさず慣れないブーツで右膝を蹴り、剣を握って柄の部分でそこを殴打した。
2Hit!! 脳内に鮮やかな赤の文字が浮かんだ。自分でもいい攻撃だったと満足していると、少年は右膝を押さえ地面をごろごろと転がり、苦痛に悶絶していた。「っあうあうあう……!!」
どう考えても喧嘩を売ってきたお前が悪い。こんな状況下だがこんなおふざけ(?)をしたお陰で心が軽くなった気がする。恐らくこの小物臭全開のもどき野郎に力の強さを見せ付ける事ができたであろう。細いからとナメられるが、これでも剣道で県大会一位になった事もある(まだ気合のあった中学の頃の話だが)。
髪を染めるような、道を外れるような事をする奴よりも強くありたい。強さなど無意味なものだが。
「なんでオマっ……オマエみてーなヤツが強かったらオレ、ただの小物じゃんかよォ……うう」
似たような事を考えていたのか、少年はそう言葉を漏らした。

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