複雑・ファジー小説
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.11 )
- 日時: 2014/03/01 20:06
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: vwUf/eNi)
「あーもう本当にコイツしつこい!無線とかでさ、援軍呼んでよ!あと一人ぐらい戦力になるやつがいりゃいーんだから!」
叫んでいる声。どうすればいいのだろうか、僕は。ここで隠れているのでもしばらくは安全だと思っていたのだが、そうもいかなくなってきた。さっきも近くの瓦礫が粉々に砕けた。
彼らは必死にホシクイと戦闘を続けている。ややホシクイの方が優勢に見える。やはり戦力が足りないのか。
「畜生さっさとくたばりやがれこの外道!」
外道ではない気がする……
「これでどーだ、兄ちゃん特性銀の矢三本セットエーテル仕立てだ!どうぞ心ゆくまでメインディッシュをご堪能下さいッ!」
何と言うか……凄いなその発想力。
ひゅん、と何かが風を切る音が微かに聞こえる。台詞から察するに「銀の矢」とか言うやつなのだろう。それがぶしゅる、とまるでトマトが潰れた時のような音がして、耳をつんざくような声————いや、これは声なのだろうか?とにかくホシクイの悲鳴が聞こえた。マンドラゴラを引き抜いた時にはこんな声がするのだろうと僕は何故か思っていた。
それでもまだホシクイはくたばらないらしく、それ以降も矢が風を切る音やらなんやらが聞こえてきた。
状況が変わり始めたのは、シグナレス(と呼ばれていた)が「兄ちゃん」と呼んでいた彼が僕の近くまで吹っ飛んできた。
「兄ちゃんッ!」
シグナレスがこちらへ駆け寄ろうとするが、ホシクイからの攻撃が背後から迫ってくる。こちらに来るのは相当難しそうである。
「おいそこのお前!ちょっと兄ちゃん見といてくれ!」
僕はこくこくと頷くと、これまで援護に徹していたはずの彼を比較的安全な場所へと連れて行った。
「大丈夫ですか?えーっと……」
「シグナル」
急に謎の単語を発せられた。
「俺の名前だ」
「え、あ、えと、僕ヨダカって言います」
どうやら名乗って貰えたようなので、反射的に僕も名乗ってみた。
「夜の鷹ね……割とお前鷹って言うより雀とかっぽいイメージだけど」
「あはは……」