複雑・ファジー小説
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.17 )
- 日時: 2014/03/04 12:10
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: vwUf/eNi)
「ちょ、怖い怖いこーわーいー!」
「ああもう落ち着けヨダカ!そんなに暴れると落ちるぞ!」
————箱庭を出る方法は、当然徒歩では無かった。ざっくり言えば「空」からだ。正式な星憑であるシグナレスは空を飛ぶ機械を持っているし、シグナルさんはそもそも契約したホシビト的に空が飛べる。つまりこの中で空を飛ぶ事が出来ないのは僕だけであって、シグナレスの持っている機械は一人乗りなので必然的に僕はシグナルさんにつかまってその星憑本部とやらに行くこととなった。
しかし、これが案外怖い。さっきは星憑の能力で飛べていたじゃん。平気じゃないの、と言われそうだが、あの時はホシクイを倒す事で頭がいっぱいだったからそこまで気にする事ではなかったのだ。今改めて飛んでみると凄く怖い。
「ははっ、変なヨダカー!慣れると面白いモンだぞ?」
シグナレスが笑いながら話しかけてくれるが、それに返答出来るほど僕の心には今、余裕がない。
「す、すいませんあとどのくらいで本部到着するんですか……」
「本部には、まぁ……一時間くらい?」
うーんとうなってからシグナルさんは答える。え、つまりそれって一時間も空飛んでいるってこと……?
「案の定嫌そうな顔ー」
「ま、どのみち俺も一時間は飛べないわ。行きは体力あったから割と平気だったけど、帰りはやっぱキツいな」
ではどうするのだろうか。まさか徒歩……とか言わないよね?空飛ぶのよりはまだマシだけど、でも……
「それにしても、今回はお世話にならないと思ってたけど、予想外のイレギュラー君が現れたから結局お世話になっちゃうねぇ」
「便利だしいいじゃないか。お前、あれ好きだろ?」
ま、そうだけど、とシグナレスが破顔する。……あれって何だ?それが何を表現するのか、全くもって見当がつかない。人なのか物なのかもわからない。
「距離からしたらもうすぐの筈なんだが……あ、あった」
そこには、駅のホームが“浮いていた”。