複雑・ファジー小説

Re: 星憑のエルヒューガ ( No.22 )
日時: 2015/05/06 17:33
名前: 夕暮れメランコリー (ID: BJQqA4RR)

 それにしても。
 やはりと言うべきか、星憑という存在は少ないようで、ロビーにはあまり人がいなかった。僕たちを除いてそれこそ二、三人程。そもそも世間一般には星憑なんてポラリスくらいしか知られていないのだけれど。
 だからただでさえ広いエントランスがより一層広く感じられた。
「さて、今からヨダカの星座を確認しに契約者名簿見に行くけどシグナレス、お前はどうする?ホモイに呼ばれてるんだろ?」
「いや、兄ちゃんと一緒に行く!ホモイに呼ばれてるとかそんなのすっぽかしても大丈夫でしょ、どーせ大した用事じゃないし」
「……それっていいのかなぁ」
 まだ顔も見ていないホモイさんに心の中でひそかに謝りつつも僕はシグナルさんの後に続いた。





『ようこそ、白鳥座星憑シグナル及び射手座星憑シグナレス、そして新規契約者ヨダカ。私は星憑本部のコンピュータ全てを管理しますマザーコンピュータ「HAL」です。以後お見知りおきを』
 なんだか青白い、とある部屋に入った瞬間どこからか響いてくる声。僕の反応が予想通りで少し嬉しかったのか、にこにこしながらシグナルさんが正面を指差す。
 そこにはよくわからない機械が鎮座していた。黒い大きな長方形の箱が幾つも置いてあって、箱から小さな青い光が幾つも漏れている。部屋全体を明るくしている原因は恐らくこれだ。
 そして、僕の丁度正面にこれまたよくわからない機械が置いてあった。長方形の箱よりかなり小さいし、今度はこれ自体が青白い光を放っている。
「……これは?」
「さっきコイツ自身が自己紹介してただろ、HALだよHAL、なんかすごいコンピュータのHAL」
 存在だけなら知っていたコンピュータだけれど、いざ目の前にしてみると何と言えばいいのかわからない。ただの箱にしか見えないから凄さも分からない。強いて言えば箱が喋っている所だけか。
「つまり、このコンピュータが全ての星憑に関する情報をまとめているんだ。誰が何と契約しているか、今はどうなっているか、生きているのか死んでいるのか、何の討伐に出かけた、とか」
「はぁ」
 やっぱりよく分からない。