複雑・ファジー小説
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.23 )
- 日時: 2015/05/06 18:15
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: BJQqA4RR)
「とにかくその何だか凄いコンピュータのHALさん、僕が契約している星座について何かわかったりします……?」
『はい。新規契約者ヨダカの契約した星座についてですね。情報を公開可能と判断した範囲で開示致しますので少々お待ちください』
思わず条件反射で「お願いします」と返事をしてしまった。コンピュータに返事をするのはおかしい事なのかと思っていて、後ろの兄弟に笑われるのではないかとひやひやしていたが別にそんな事は無いようだ。
確かにこのコンピュータ、声だけならば人間と大差ない程だ。発言に人間の温かみが無いけれども。
そんな考え事と自分の契約したのが一体何の星座なのかという緊張感が心を埋め尽くしていた為、僕の耳にはシグナルさんの呟きが入ってこなかった。
「『公開可能と判断した範囲』、か……」
『お待たせしました。情報を開示致します』
音声と同時にHALの上に長方形をした何かが幾つか浮かび上がる。その長方形には文字が書いてあるようで、それを読むために僕は長方形の何かの一つへと近づいた。
そこには僕の名前と詳細なプロフィールが書いてあって、いつの間に調べられたのか大層驚いた。が、一番僕が驚いたのはそこじゃあない。名前の下に書いてあった契約星座の項目だ。
「……へっ?」
いやいや、まさか。もう一度よく見てみる。もしかしたら似たような名前の星座かもしれないじゃないか。しかし無慈悲にもその項目はきちんとその名前を示していた。
「どうしたヨダカ?」
「なになに、契約した星座がめっちゃ強くて手に負えない存在だったとか?それとも逆?」
興味深々といった様子でシグナルとシグナレスが僕の見ている長方形を覗き込んでくる。正直僕はこの長方形を隠したい気持ちでいっぱいだった。
「えっ」
「……マジ?」
二人同時に目線を長方形から僕の顔に移す。ああもう、穴があったら入りたい。
「まぁヨダカの顔なら確かにいけそうだけど……」
「性別関係ないもんな、契約する星座って。でも逸話的にどうよ?」
「諸説あるとは言え、あれはヨダカの性格じゃないよな」
『どうかしましたか。開示された情報に何か問題でも』
何も問題は無いし多分事実なんだろうけど、でも言わせてもらうなら顔を見てその星座だと納得するのはどうかと思う。
もう一度見間違いだったらいいな、と淡い希望を抱きながら長方形を見る。見間違いなんてそんな事は無かった。
『契約星座:カシオペア座』
きちんとそうやって記されていたから。