複雑・ファジー小説
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.24 )
- 日時: 2015/05/07 19:31
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: BJQqA4RR)
「やあシグナレス待ちくたびれたわよ、新人の付き添いって事で今回は見逃してあげるけど——嗚呼私って優しい!——次は無いわよ覚悟なさい」
部屋から出た瞬間、赤いリボンが特徴的な謎の少女に突っかかられた。正確には僕ではなくてシグナレスが。そういえばシグナレスは誰かに呼ばれていたとかそうじゃなかったとか言われていたっけ、と唸っているとシグナルさんが親切にも教えてくれた。
「あいつは俺らと同じ星憑のホモイ。契約星座は蠍座。俺らよりも後に加入したにも関わらずめきめきと頭角を表し始めて、今や星憑の中じゃ十本の指に入るくらいの強さだ」
「それは聞き捨てならねーぞ、その十本にはきっちりしっかりこの俺シグナレスも入っているんだからなっ、こいつより上位で」
「いーや、私の方が上よ。私だったらアンタが討伐しに行ったホシクイくらい十分もかからずにフルボッコしちゃうんだから!」
途端、シグナレスが意地悪そうに笑った。ホモイと呼ばれた少女はその笑顔に「な、何よ気持ち悪い」と後ずさりする。
「へぇ〜十分ねぇ!十分!遅い遅い遅すぎる!俺は五分で相手の体力を半分以下にまで削ってました倒せましたぁ〜!……多分」
しかしそこでシグナルさんはシグナレスの言葉を遮った。一部おかしい所があるぞと言わんばかりに。
「シグナレス、お前が体力を削ったかもしれないがトドメはヨダカだろう。ヨダカがあの場で契約しなかったら今頃どうなっていたか」
うぐっ、と追い詰められた犯人のように顔面蒼白になるシグナレス。僕個人としてはそのまま手柄をシグナレスのものにしても良かったんだけれども、シグナルさんはどうやらそうもいかないらしい。
ホモイはホモイで戸惑ったように僕の顔とシグナレスの顔を交互に見ている。なんだかシグナレスがいたたまれなくなって僕は咄嗟に「ごめんなさい!」と謝っていた。僕が謝る場面ではないのに。
「……この、新人が?」
「ああ」
「情報じゃかなりの大型ホシクイだったわよね?それを新人が?」
シグナルさんは頷く。シグナレスも渋々だが頷く。手柄を横取りしようとした手前気恥ずかしいのかもしれない。というか十中八九そうだ。
「————これは、レオーノ以来の大型新人かもしれないわよ」