複雑・ファジー小説
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.7 )
- 日時: 2014/03/01 19:58
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: vwUf/eNi)
「おかしーだろ普通にさ、今日休みだったって言うのにさ」
ぶつぶつと文句を垂れる少年。頭にまるでカチューシャのように、バンダナのようなものを巻いていて、まるで夜空のような色をした群青色の半袖の上着を着ている。
それだけならただのお洒落な少年だが、はっきり言うと普通ではない状況だ。パラグライダーのような何かで風に乗っているが、そのパラグライダーは手元にコントローラーが備わっていて、どうやら自由に操縦できるようだ。背中には弓を背負っている所も、また普通ではない。
「我慢しろシグナレス。「ホシクイ」が出たんだから俺ら「星憑」が出動しなきゃいけないんだ」
少年の隣にいた青年がそれを制す。頭に少年と同じバンダナを鉢巻のように巻いていて、長袖の上着を着ている。顔付きなどから察するに、二人は兄弟なのだろうか。しかしこちらも改造パラグライダーに乗っているかと問われればそうではない。
こちらは“飛んでいる”のだ。背中からまるで天使のように翼が生えていて、自由に飛べているところから察するに飾りでは無いようだ。
「あーめんどくさ」
「仕方ないだろ、非番で暇だった奴って俺らだけだったし」
「嘘つけ!クラムボンだって非番だったし暇人だったよ!?」
「……あいつはお得意の巧妙な言い訳でどうにかしたんだろ……」
はぁ、と青年が溜め息をついて、先程「シグナレス」と呼ばれた少年が舌打ちする。
「おい見えたぞ。あそこが現場の「箱庭」だ」
ぐちゃ。
何かが落ちる音————まるで生肉か何がが落ちたような音がして、しばらく丸まっていた僕は顔を挙げた。
挙げてしまった。
そこにあったのは、人の腕。
切断部分がそんなに綺麗じゃないから、例の何かにやられたんだろう。
ぐちゃぐちゃになった切断部分からどくどくと流れ出る赤黒い液体は、つまり。
つまり——————————————