複雑・ファジー小説
- ステージ1 「私立麗美高等学校」 ( No.6 )
- 日時: 2013/10/10 07:41
- 名前: 417 (ID: DVcR0E4k)
【五】
「俺、このゲーム初参加でな。なんだっけ、トイズ?の説明もよくわからなくてよ、命がどうとか、鍵がどうとか……」
男の言い分はだいたいそんなものだった。
おそらく、このゲームの事実を受け入れ難いのだろう。普通に過ごしていたのに、拒否権もなくゲームに巻き込まれ、挙げく「殺し合え」だ。受け入れられないのもよくわかる。
「ナビゲーターが説明した通りだよ。このゲーム参加者で殺し合って残った一人だけがゲームクリア。それ以外は全員死亡。ただそれだけのルールだ」
「……おいおい、冗談だろ」
残念ながら本当だ、と首を小さく横に振る。男の顔がひきつりだした。
「や、待てよ。もしかしたら二人でクリアできるかもしれねぇじゃん!!知り合いとかいたら殺し合えないだろ!?」
「そんな慈悲のあるゲームじゃねぇよ、これは。例え知り合いだろうと恋人だろうと家族だろうとお構い無しだ」
なんだよ、それ。と男はうつむいた。最初に浮かべていた軽い笑みはもう消え去り、表情はどうしようもなく重い。
「だけど、まぁ、確かに絶対一人しかゴールできないとは聞いたことない。ナビゲーターも参加者全員の命が鍵とはいったけど、一人しかクリアできないとは言ってないもんな」
俺がそう言えば、男ははっとしたように顔を上げた。
「だ、だよな!もしかしたら抜け道とかあるかもしれないし……そうだ!なあ、あんた。俺と手を組まないか!?で、頑張って二人でクリアしようぜ!」
男の言葉に俺は少し考える。確かに、絶対一人しかクリアできないとはいってないが、恐らくそれは不可能だろう。それに……
そこまで考えて俺はあることに気がつく。あぁ、確かにこれならなんとかなるかもしれない。
「わかった。ただし、もしギミック引っ掛かって足手まといだと感じたら、切り捨てるぞ」
「ああ!……ところで【ギミック】ってなんだ?」
そこからかよ!?思わず叫びそうになるもなんとか飲み込んで、代わりにため息を一つついた。