複雑・ファジー小説

第三章『巻き込む者と巻き込まれる者』 ( No.10 )
日時: 2013/11/04 21:26
名前: シイナ (ID: ptyyzlV5)

【1】

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独りの方が、寂しいけれど楽なんだ。

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「ん、なかなかの出来だな」

手に持ったバルーンを様々な方向から見て、俺は一人呟いた。

花の形を模したそれは、今日、優香のお見舞いへと持っていくつもりのものである。

俺があいつのお見舞いへと行くとき、持っていくのは大抵花かバルーンだ。

理由は至極単純で、あいつが花、特にひまわりを好んでいるからだ。

前回、花屋の店員に選んでもらった花を持っていったので、今回はバルーンを持っていくことにした。

黄色の風船で作られたそれは、結構真剣にやっただけあり、なかなかの出来栄えである。これなら、あいつも喜んでくれるだろう。・・・もっとも、あいつの場合は何を持っていっても喜ぶのだが。

「さてと、行くか」

作ったバルーンを少し大きめの紙袋に入れて、財布とスマホを持った事を確認してから俺は外に出る。

暑いのがめっきりダメな俺が、夏に自主的に外へと出るのはお見舞いの時だけである。もちろん、水分も忘れずに鞄へと入れてあるのだが。

「にしても…暑いな」

ジリジリと照りつける太陽を睨んで、俺はニュースを思い出す。

今日の最高気温は41度。とうとう40度超えだ。

それでも俺は、こうして病院に向かっている。それは、あいつのお見舞いになかなか行けないという理由と、もう一つ。

「なんだかんだ言っても、俺も楽しみなんだよな…」

口元を緩ませて、俺は言った。

少しだけ、歩くスピードを速くして、俺は病院への道を進んだ。