複雑・ファジー小説
- 第三章『巻き込む者と巻き込まれる者』 ( No.13 )
- 日時: 2013/11/08 18:29
- 名前: シイナ (ID: NywdsHCz)
【4】
彼らの話を纏めると、こういうことらしい。
この世界には魔法という概念が存在する。
世界に生まれてきたその時点で全てのものは魔力を持ち、その中でも特に多くの魔力を持つのが『魔法使い』である。
この『魔法使い』は世界中に散らばっており、基本的にどこかの組織に所属しているらしい。
『魔法使い』のタイプは主に三つ。一つ目は『魔法使い』を束ねる『境会』に所属しているもの。この割合は七割で、大抵のものが『境会』と契約している。
二つ目のタイプが境会に所属していないフリーの『魔法使い』。これは約二割ほど。基本的にお金で雇われるか、利害が一致したときのみ、どこかの組織に臨時加入する。
そして三つ目。これが今回、俺がこうして説明を受けている理由となるのだが、この約一割の例外がかなり厄介らしい。
彼らの名前は『終わらない終焉』。境会へと反逆した、『禁忌犯しの魔法使い』たち。
そもそも境会とは、一般社会でいう政府と警察を合わせたのようなもので、決まりごともいくつかここが定め、それを破ったものを裁くのもここである。
そのいくつかの決まりごとを破った者は『禁忌犯し』と呼ばれ、境会にて半永久的な監禁が待っているらしい。
そして、この『禁忌犯し』が集まったのが『終わらない終焉』。彼らは境会のやり方に納得できず、一つの組織となって境会と幾年もの戦いを続けている。
「ここまでは大丈夫?」
「あー、まぁ。話がぶっ飛び過ぎてついていけない部分もあるけど」
「まぁ、仕方がなかったりとか」
そう言えば彼女は「じゃあ、続けるわね」と言って再び話を始める。
「さっき言った三つのうち、私たちは一番目のタイプ。私の場合は境会直属になるわ。で、彼は…」
「僕は第Ⅰ級の『運命の札』所属魔術師だったりとか」
「第Ⅰ級?とーら?なんだそれ?」
「あー、そこからね…」
はぁ、と彼女はため息を一つして、しかしすぐに表情を一変させ突如立ち上がった。
「な、おい。どうしたんだよ」
その問いに答えたのは隣で同じように立ち上がった亜季だった。
「お客様だよ」